虚圏(ウェコムンド)で日番谷冬獅郎(ひつがやとうしろう)はひたすら歩いていた。
別に急ぎの任務ではない、だから歩く。

ここは予想以上の大きさだった。
虚夜宮(ラスノーチェス)が遠くの方に見えるが、その距離は一刻前から全く変わっていないようにも思える。

それくらい遠かった。

それを改めて認識して、日番谷は独り深くため息をついた。



空座町(からくらちょう)での決戦から3日。
ソウル・ソサエティ、瀞霊廷(せいれいてい)の機能は徐々に回復しつつある。

とは言っても、隊長格はほぼ全て重症。
日番谷を除いた数名が例外であった。

虚圏の調査を総隊長から承った直後のこと、あれを暫く日番谷は忘れられないだろう。


今までに一度も話したことのなかった朽木家当主の義妹の突然の訪問。

それに度肝を抜かれたことに。
いやあ、やっと終わりました。
12話って長いのか短いのか微妙ですが…

今回の話、
『十刃少年と死神少女』

BLEACHを題材にした二次創作の小説でありました。

十刃の一護と死神なりたてのルキア。
どちらかというと一護よりなため、ルキアのことは大部分『少女』と描写していました。

敵同士が恋をする、そんな話が書きたくなったんです。

さて、本文中にもありましたが、この設定の一護は長髪です!

理由は簡単、夜都の趣味です、はい。


ともかくです、皆さんに楽しんでいただけたなら幸いです。



ところで…
突っ込まれた方、いらっしゃいますかね?

そうです、夏梨です。

あんな微妙な出方は何だ!と思われた方、挙手をお願いします。

…で、
次回予告に入るんですよ。

次回、
『死神少年と破面少女』

日番谷と夏梨のお話です。
続き物…の部類に入るでしょうか。


虚宮を調査するよう命じられた日番谷。
すると朽木家の養女、ルキアから頼みごとをされて…

日夏仕様となっております。

1話は明日投稿予定です。
「しに、がみ……」

「何故だ、何故私の攻撃を防がなかったのだ!」

「そう、だ、な……」

か細い声で何とか声を出す。
ただそれだけでも辛そうで、見ていられなくて少女は目を逸らした。

「あんた、を、斬るこ、と、でき、な、かった」

「何を……!」

もう、一護には声を聞き取る力さえも残っていなかった。
朦朧とする意識の中で、愛する妹の姿が浮かぶ。

「夏、梨……悪、かった……」




申し訳ございません、藍染様。
私にはこの死神は斬れません。

きっと、この少女に心を奪われてしまったのでしょう。


夏梨、ごめんな。
結局独りにしてしまった。
本当にごめん。

ただ、前に言っていただろう?

『一兄があたし以外の大切な人を見つけること。それが、あたしの今の最大の願いだよ』

ああそうだ、見つけたんだ。
その大切な人の手で命を終わらせることができる。

後悔はしていないんだ。





さらさらと消えゆく身体。
それを強く強く抱きしめ、少女は呟いた。

「死神ではない……朽木ルキアだ、莫迦者……」

本当のことを言うと、自分も斬ることを躊躇ってしまった。
それでも敵だから、そう割り切り駆けた。
だから少しだけでも願っていたのかもしれない。

彼が自分の攻撃を防いでくれることを。
避けてくれることを。

「これではまるで……」






(敵に恋したみたいだ)

(そして、その命を自ら終わらせてしまった)

END