「こう申せば、私はその……死神としてあるまじきことを致してしまったというか……」


「死神として……?」


「私は……破面、しかもそのトップにたつであろう#1の十刃に恋、というものをしてしまったようなのです」



恋、だと?


一瞬だけだが、その言葉の意味を思い浮かべることが日番谷には出来なかった。


仕事しかすることのない自分にとって、それだけ無縁の言葉だった。


ルキアは続ける。



「その破面を私は自らの手で刺し殺してしまいました。……ですから、詫びたいのです。あの者が最後に呟いたその名を持つ者に」


「しかし戦いは犠牲が常……本来なら謝る義理は無いとは思うが」


「それでも私は、」



謝りたいのです。


謝ることで自分の心を救いたいという、卑怯者なのです。



そんな苦痛を浮かべるルキアの表情を見ていて、


ただ日番谷は頷くことしかできなかった。





半日ほど歩いて、漸く虚夜宮へとたどり着く。


あたり一面、白、白、白。


ここには、白しかない。


具合が悪くなりそうなほどに一色に統一された視界。


それでも進まなければならない。


ルキアからの頼みを抜けば、本来の任務は虚圏、虚夜宮の調査。


だから何かしら見つけて報告しなければならない。


自ら王と名乗っていた藍染は封印された。


市丸ギンと東仙要は死んだ。


だから三人が従えていた十刃達がどうなったのかは知らない。


戦いで死んだか、それとも生き延びたか。


少なくとも#3のハリベルとその従属官は生きているらしい。


会って、話を聞ければ一番早いのだが。



暫く歩いていると、扉を見つけた。


色は白。


ただ、壁との境目とドアノブがあったから分かっただけで、適当に歩いていたら見逃していたかもしれない。


その部屋の扉をゆっくりと開いて、中の様子を窺った。


人は、居ない。


侵入すると、男の部屋と思われるそこは、ほとんど物が置かれていなかった。


ベッド、机、小さなキッチンに浴室……。


生活に必要最低限の家具たち。


見て回るが、収穫となりそうなものは何もない。


仕方なしに部屋を出ようとした時だった。


入るときには気づかなかった小さなドア近くの机。


その上には小さな写真立て。


その中には二人の人物の写真。


黒髪の少女と、橙髪の少年。


ひっくり返せば、「カリンと」と書かれている。


つまり、この少女が朽木ルキアの言っていた少女なのだろう。


手掛かりを探すため、日番谷は再び外へと向かった。