同僚と世間話をしなくなって1年経った。
毎日昼休みは雑談をして過ごす仲だったし、社員旅行の時は同室にしてもらったり、休日に一緒に遠方に遊びに行く仲でもあった。
普通に仲良かったんだと思う。
ある日、昼休みになってもいつもの席に来なかったのでおかしいな?と思ったけれど、自席でパソコン見ながら食べたい日もあるので、今日はそういう日なのかもな。と思って特に気にしなかった。
それが次の日、またその次の日と続いたので、ああ……これは同僚からの無視が始まったのだなと、察しが悪い自分でも気付いた。
もともと昼休みはお互いお弁当を持ってきて、それをレンジで温め直して食べるのが日課。
まとめて2人分を温めるのが当たり前の習慣になっていたので、なにも知らない自分はその日も普通にレンジに2人分の弁当を放り込んでいた。
無視初日、いつも昼休みを過ごす席に同僚のお弁当を置いておいたら、黙ってそれを持ってさっさといなくなった。
いつもだったら「ありがと」と軽い礼を言ってくれるのに、それが無かった。
その日は、急ぎなのかな?くらいにしか思わなかった。
その次の日、同じように温めたお弁当を置いておいたら、またさっと持って去っていった。
流石におかしいな?と思ったし、短い礼も言えないのかと少し腹が立った。
さらに次の日、またお弁当を持って黙って去って行ったので、この時点で無視に気付いた。朝、すれ違ったので「おはよう」と声をかけたのに無視して去っていったので、ああ……そういう態度を取るんだね。と、なんとも言えない気持ちになった。
その次の日からは、お弁当を一緒に温めるのはやめた。
自分の中から同僚の存在が消えたので、毎日一人分のお弁当を温める。
レンジを使い終わったら、使った給湯室の電気と換気扇を切る。
次に使う人は、自分にとっては存在しない人なので、その人のために何かを残すことはしない。
一人きりの昼休みを一年過ごしてみての感想。
快適以外の何物でもない。
本を読んでも、スマホで時間を潰しても、ゲームをして過ごしても、誰も横槍を入れてこない。
人の愚痴にまみれて、共感できない話ばかりされて、一応年上だからと気を使って付き合っていた数年はなんだったのだろう。
あんなに無駄な時間は他に無い。
苦痛な時間を過ごすくらいなら、自分から行動して一歩踏み出した方がいい。
数年前の自分に教えてあげたいと思った。