はあい!
この季節はいつもユウウツなカイルです。
ナウBGMは「黒髪にアマリリス」(河合奈保子)。
アカデミー作品賞、脚本賞を受賞した「グリーンブック」を見てきました。
小ホール系映画のはずなのに、
まさかの大シアターでの鑑賞。
見てよかった。
想定通りだけど、エンディングの塩梅がとてもよく、
ラストのあたりは、結構泣いてしまいました。
もちろん、じんわり感動の涙。
監督は、お下劣映画専門だった
ピーターファレリー(「メリーに首ったけ」)。
初の感動作で、オスカー受賞です。
でも残念ながら監督賞はノミネートせず(ゴールデングローブはノミネートしてました)
主演男優賞に3度目のノミネートを果たしたヴィゴモーテンセンは受賞ならず。
ほぼW主演でしたが、助演男優賞のマハーシャラアリは、ほかを寄せ付けぬ演技で見事受賞。
主役は実在の人物だったのですが、その息子さんと監督の共同脚本で、見事脚本賞も受賞。
ということで、作品賞、脚本賞、助演男優賞を受賞しました。
ヴィゴモーテンセンもとてもよかったのですが、
コメディ映画で主演賞は難しいですね。
でもあのロードオブザリングのアラゴルンが、
17キロも太って、デンマーク系なのにイタリア系を演じて
新たな代表作が生まれてよかったです。
もうまったくアラゴルンとは違う人みたい。
マハーシャラアリは、2年前に助演男優賞を受賞した「ムーンライト」の
無骨でタフな麻薬ディーラーとは全く違う人みたい。
繊細でちょっと変なピアニスト役をすごく上手に演じています。
1962年、まだ黒人差別が色濃く残っていた時代に、
NYの天才黒人ピアニストが、無骨で陽気なイタリア系用心棒を雇って
南部を旅して演奏する、バディロードムービー。
いわゆる「ヘルプ~心がつなぐストーリー」や「ドリーム」のように
黒人差別を題材にしつつも、ユーモラスで
本格的に悪い人や悲痛な場面が出てこない系の映画です。
とてもよくできていますが、
「グリーンブック」が作品賞を受賞して、
スパイクリーなどの黒人監督やほかの黒人からは
批判が出てきたそうです。
それは、「白人から見た黒人差別映画」「白人が黒人を調教しているような映画」だからだとか。
うーん、たしかに前者の色合いはあると思いますが、お互いが成長する映画だったので、後者はちょっと違うかも。
ちなみに、制作には、アフリカ系アメリカ人女優といえばこの人、オクタビアスペンサーも関わっています。
単純にバディ映画、ロードムービーとして見れば、十分よくできた映画だと思います。
まあ、日本人受けしそうな感じではありますね。
そう考えると、昨年のアカデミー賞を受賞した「シェイプオブウォーター」よりも
絶対に面白いし、一般受けもする映画だと思うのですが
映画としては非常にオーソドックスなので、
監督の描く美学、世界観といったものは前面に出ていないためか
アカデミー賞では監督賞はノミネートしませんでしたね。
このあたり、「アルゴ」のベンアフレックとも通じる気がします。
でも、ラストの良さや、全体のまとまりなど、
ピーターファレリーもノミネートさせてあげたかった。
クリスマスに家で家族で見るのによさそうな、
そんなハートウォーミングな作品を、
今の時代に作るのも一つの技だと思います。
もっともファレリー監督は、お笑い要素を入れないよう堪えるのが大変だったとか^_^。
来週は、圧倒的に受賞するだろうといわれていた「ROMA」を見てきます。
それでは、
じんわり、ほんのり感動したくなったら
「グリーンブック」でSparklingなひと時を!