はあい!

日々の中では何もできてないけど、ひっそりと障碍者の方が

日常生活をどう過ごせたらいいのか、などに関心があるカイルです。

 

スウェーデンといえば、平等と福祉の国。

本日のスウェーデン大使館の講演では

日本に留学経験のあるパラリンピックの選手でもあったスウェーデン人の

エーミルオストベリさんが、流暢な日本語でお話してくださいました。

 

エミールさんは7歳のころに視覚障害になったそうで

ほとんど文字など見えないそうです。

97年に東京に留学する前は、スウェーデンが世界で(視覚障碍者にとって)

一番安全な国と思っていたそうです。

さて、東京に来ての印象は…「東京って、かなりバリアフリー!」だったそうです。

地下鉄の駅などで、出口が黄色の地に黒い文字で書かれていると識別がしやすいそうです。

また階段も縁のところがグレーになっていたりすると、「ここが階段だ」とわかりやすいそうです。

東京ってそういう面が遅れているイメージが漠然とあったので、

なるほど、と思いました。

確かにNYも欧州の主要都市も、地下鉄の駅って古くて、あまりきれいじゃなかったりしますよね。

 

スウェーデンの障碍者ケアとして4つのキーワードがあるそうです。

「ノーマライゼーション」…障碍者も健常者と同じように暮らせる

「自立支援」…一人ひとりが自立できる

「個別ケア」…ひとりひとり(の障害も人格も)ユニークなものでである

「自己決定権」…障碍者自身が、何をしたいか本人の意志を実現できる

だそうです。

これも高い税金で成立している整った福祉制度があるからですが、

なぜこんなに税金が高いのに、ボルボ、エリクソン、イケア、H&M、Skype、Sportfy

など世界的な競争力があるのか。

それは、仮に失敗しても国が(失業手当などで)守ってくれるから

よりよい収入の仕事やビジネスにどんどんトライするという気風があるそうです。

 

4つのキーワードの中で、印象に残ったのは「ノーマライゼーション」と「自己決定権」。

誰しもが同じように生きる権利がある、というのがベースの思想だと思いますが

以前は障碍者を大人数収容するホームなどが主流でしたが、

この30年で変わって、小規模ホームが増えたそうです。

自分の空間や、自分で好きなものを食べる、見たい時に映画に出かける…

そういったことを支援する「パーソナルアシスタントサービス」という制度があるそう。

資格不要の制度で、パーソナルアシスタントに登録している人は85000人。

人口が1000万人ですから国民の8%近くが登録しているそうです。

ちょっと詳しい仕組みはわかりませんが、国民全体の思想が、日本とは異なるのでしょうね。

このあたり、キリスト教の奉仕の精神がベースにある、とも聞きました。

 

さて、もう一つ気になるのが、障碍者の仕事です。

母体が何かがわかりませんが、6%の障碍者が一般企業に就職しているそうです。

彼らの給与の8割は国が補助しているとか。

また彼らが働くために必要なツール類も国が無償で提供するそうです。

 

ただ、やはり一般企業への就職は難しいのでしょう。

「サムハル社」という2.5万人もの障碍者が働く国営企業があるそうです。

工場労働や、一般企業で清掃などのサービスを主としているそうですが、

そもそもの職業案内所などの仕組み、およびそこでの斡旋の仕組みが

徹底されているようです。

 

いやあ、1年近くこのスウェーデン大使館での講演会に参加してきましたが

今回が一番濃密でためになりました。

 

今回は講堂には障害のある方もちらほらいらっしゃいました。

最後の質疑応答のところで、

もう60歳ぐらいの方でしょうか。白髪の方が立ち上がり、発言をしました。

「自分は、スライドに投影されているのが2枚の写真なのかな、というのが

なんとかわかるぐらいの視覚障碍者です。

髪も真っ白、肌も真っ白です。

(先日)亡くなった母が、最期まで、(息子が障害があることに)責任を感じていた。

そのことを知って驚いた。むしろ自分自身のほうがのんびり生きてきたのに。

スウェーデンでも、そういったように(母)親が責任を感じたりするのでしょうか?」

この方の問いに、

「スウェーデンでも3,40年前は、責任を感じる母親が多かった。

でも今の時代はノーマライゼーション~」

ちょっとウルウルきていたので、エミールさんの回答が全部聞き取れなかったのですが、

特に今回印象に残ったシーンでした。

ちょっとずれるかもしれませんが、講演の中盤では、こんなエミールさんの紹介もありました。

「スウェーデンでは、自分の子供が重度障碍者でもつきっきりでいたいという発想がない。

国も親が疲れてしまわないように、月に1日~20日まで障碍者(児童)を預かる施設があるし

(前述の)アシスタントサービスがある。」

など。こう書いていると、スウェーデンは凄い、日本は今一つという印象になってしまいそうですが(かなりの部分で実際にそうだとは思いますが)、エミールさんは

「スウェーデンにはスウェーデン人にあった(福祉の)あり方がある。

日本も日本人にあった(福祉)モデルを作ればよいのです」

 

なるほど。日本人にあった福祉モデルってどんなだろう。

高齢化社会を迎え、2020年にはパラリンピックも開催される東京、日本。

何かの機会にももう少し知識と考えを深めてみたいと思うのでした。

 

それではダイバーシティでさらなるノーマライゼーションなSparklingな日々の実現を!