みなさんこんにちは。今日の話題です。


昨年10月から放送がはじまった、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
長崎・五島列島とともに、おらが街・東大阪がその舞台になっている作品です。
一昨日に最終回を迎えたこのドラマ、気づいたこと、印象的だったことなどを毎週、取り上げて述べてみようという企みを、第1週からお送りしています。少し間が空きました。
第23週「飛躍のチャンス」前後編はこちら↑

読売新聞朝刊 2023(令和5)年3月12日付け 17面(週間ラテ面)より。
それでは、第24週「ばんばの歩み」編(3月13日〜17日放送)をお送りしたいと思います。


月日は流れて、2016(平成28)年8月。
主人公・梅津舞(福原遥さん)は、貴司(赤楚衛二さん)との子を無事に出産しました。

貴司が考えた名前というのが…空にまつわるものが多いなあというのは、舞のことを考えてのことなのでしょうか。

その中で、二人が選んだ女の子の名前は「歩(あゆみ)」。
空ではなく、地に足を付けて進むもの。果たして、どのような成長をするのか楽しみです。

ところで、舞が出産のために入院していたのは、貴司とも共通の親友・久留美(乃木坂46・山下美月さん)が働く病院でした。


救急救命の看護を極めたいと、この先のキャリアアップを考えていた久留美。
離島が多いために、ドクターヘリの体制が進んでいる長崎でフライトナースになる目標を立てていたのですが、無事に就職も決まったと。

なんと、これも奇遇なこと。舞の祖母・祥子(高畑淳子さん)が住むのは、長崎・五島列島の離島のひとつ「知嘉島(ちかしま)」。
今度は、久留美との関係が生まれるのかなと、ふと考えてしまいます。


後日。長崎へ旅立つ久留美のために、3人が岩倉家でささやかな祝賀会をするさ中のこと。

不意にやって来た舞の兄・悠人(関ジャニ∞・横山裕さん)が、久留美に突然の告白。


「リーマンショックを予想したカリスマ投資家」として有名人になっていた悠人。ただ、インサイダー取引に絡んだがために、その後は失意の日々を送っていました。
その悠人を、久留美が陰に陽に支えていた描写がここまで幾つもあったので…これは良かったなというところから、第24週ははじまりました。

さらにその2年後、2018(平成30)年。
町工場の技術を広く活かすべく、舞と、元新聞記事の御園(山口紗弥加さん)が立ち上げた企画会社「こんねくと」の経営も、順調な様子。
だんだん現在に近づいて来た訳ですが、この時点では5年前のこと。果たして、最終回はどういった時間軸になるのか、気になりはじめます。


そんな中、舞の母・めぐみ(永作博美さん)に祖母の祥子(高畑淳子さん)が、船の仕事中に倒れて入院したと連絡を受けます。


劇中、久しぶりに登場する五島列島でした。



祥子は、軽い脳梗塞だという診断でした。幸いにも、すぐに受診したことが功奏した様子だと医師はめぐみに話すのですが…

これまでの、一人での生活はもう難しい。
なるべく誰かが様子を見てあげることが必要になるのだと。それは、祥子も入院してから薄々感じていたようでした。

病室で、めぐみと舞に面会した祥子。不意に、持参したラジオについて語りはじめます。
このラジオ、めぐみがまだ中学生の頃に亡くなった夫・雄一との思い出のもの。
夫亡き後も、祥子はいつも手元に置き大切にしていたのですが、幾度も修理をしても完全に壊れてしまったのだと、気落ちしてしまいます。
ただ、祥子の体調を心配しためぐみは、この機会に大阪で一緒に暮らそうと提案をします。


五島で生まれ育ち、昔から支え、支えられた仲間が居る、住み慣れたこの土地で暮らしたい。
なにより、雄一との思い出があるここを離れたくない。ふたりにこう告げる祥子。

結論が出ないまま、めぐみと舞は帰阪。
私事ですが、仕事柄、よく聞くことのある話しです。ただ、どちらの気持ちも痛いほどよくわかるので…難しい問題です。


ただ、大阪に居る面々は、祥子を迎え入れたいとすでに心に決めていました。

その数日後。無事に退院した祥子を自宅で舞や貴司、2歳になった歩たちが待っていました。

歩は祥子さんのひ孫に当たる訳ですが、これはうれしくて仕方ない様子!

ですが、身辺のことはすべて自分でやり、周りの人々の世話を焼くほど行動的だった祥子。




祥子さんというと、バイタリティ溢れる姿しか
ここまで見たことがありませんでした。

しかし、年月というものはそれでも重なるもので、なんでも自分ひとりでこなして来た祥子さんにとっても、例外ではなかった。
そういったことを微塵にも感じさせなかった、祥子さんの、ここまでの劇中でしたから…
複雑な心境になるのですが、舞が祥子にこのようにこぼす姿が、今週殊に印象に残ったシーンでした。

原因不明の発熱を繰り返す舞が小学3年生の頃に、転地療養のために、ここ五島で祥子とふたり暮らしをしていた頃のこと(1994年)。


失敗することを恐れて、おとなしく消極的な性格になってしまっていた当時の舞を、こうして
諭し続けていたのは、他ならぬ祥子。
おかげで、舞は見違えるほど活発な少女に成長するきっかけになったのですが、今度は祥子を舞が諭す立場になった。すなわち、教えたことがきちんと伝わり、さらに還って来た。
これは、意義深いものだなと、物語終盤に差し掛かり感じました。


さらにめぐみは、祥子に対してある決心をしたと話します。「株式会社IWAKURA」の社長を退くことにしているのだと。

このふたりのやり取りが、実に印象に残るものでした。

社長を退いて、祥子と一緒に暮らしたい。一緒に住むことで、これから親孝行したい。
その理由が、20年しか一緒に居られなかったからと、切々と語るめぐみ。

まだ、大学2年生・20歳だった頃のめぐみ。
長崎に赴任していた浩太(高橋克典さん)と出会い、町工場(岩倉螺子製作所)を急遽継ぐため退職して帰阪する浩太と結婚したいと、祥子に懇願する場面がありました。
第7週より、1981(昭和56)年の回想場面。

祥子の反対を押し切り、浩太とともに東大阪へ嫁いだめぐみ。半ば、勘当されるような形で五島列島を離れていたのですが、その縁が戻ったのは、舞が転地療養したこと。
「舞いあがれ!」の放送がはじまった時点の時代設定(1994年6月)では、この場面以来めぐみと祥子は、やり取りがない状態でした。
やはり、祥子をひとりには出来ない。ただそれ以上に、長い間ひとりにしてしまっていた大切な母親と、これからは一緒に暮らしたい。
社長を退いて、その時も五島に戻りたいならば、一緒に五島で暮らしたい。めぐみの考えた結論は、これでした。

頑なに五島に残ると主張していた祥子さんも、この娘心に、決心がついた瞬間でした。
いよいよ、祥子が東大阪にやって来ます。


それからしばらく。島を離れることになった祥子の送別会が行われるのですが、亡き夫との思い出が詰まった船「めぐみ丸」は、島の若者・野口若葉(川口春奈さん)が引き継ぐことに。
川口春奈さんというと、まさにこの五島列島出身の方。なにかしらの形で出演されるのではと期待していたのですが、これは重要な役割での登場でしたので、個人的には安心しました。
そして、祥子と長年懇意にしていたさくら(長濱ねるさん)。この方も五島列島出身ですが…
そして、さくらの夫「むっちゃん」がついに登場!椿山修(前原瑞樹さん)でした。
思えば、舞が五島に転地療養していた頃から「名前のみ」での登場だった「むっちゃん」。
姿が見られて良かったなあと感じました。祥子は自家製のびわジャムをさくらの店に陳列中。第2週より。

そして、祥子が東大阪にやって来ます。表札がまたにぎやかになりました。


5人家族になった岩倉家。祥子さんが入ると、雰囲気に和らぎが加わったように感じます。
特に、歩ちゃんにとっては大きいことなのではと、勝手に考えてもしまいます。


祥子が東大阪にやって来てしばらくの日。
一家で、りんごジャムを拵えるというシーンがありました。



おいしそうやなあというのはもちろんですが、この光景、以前に見たことがあるような。

これでした。舞が祥子とふたり暮らしをするようになり、島の生活にも少しずつ慣れて来た頃のこと。
祥子はびわジャムを、毎年拵えることを楽しみにしていたのですが、舞と一緒にすることに。
うまく瓶詰めが出来ないことに、舞はおそるおそるだったのですが、これの体験を経て、自分でなにかをやることの楽しみと自信をつけはじめたきっかけでした。第2週より。


14年の月日を経ての、祥子のこの言葉。五島への愛着もさることながら、支えてくれる仲間をどれほど祥子が大事に思っているのかを感じさせられる、このシーンでした。



先ほど、壊れてしまったという大切にしていたラジオ。なんと、舞のネットワークのおかげで修理が出来たという!

さまざまな思いがあっての、故郷からの別離になった祥子さんだと察するのですが、こちらにも支えてくれる人がたくさん居るのは、違いないこと。とかく、いい大阪での生活になってほしい、と願うばかりです。


ところで、自身が社長を務める「株式会社IWAKURA」の後継者問題について。めぐみは、町工場時代から会社を支えて来てくれた、結城(葵楊さん)に後継を要請することに。



めぐみが、一度は畳もうと考えていた会社。それを存続させ、さらに拡大も出来たのは、結城
の力も大でした。

従業員を家族のように大切に扱い、誇りを持って働いて来た浩太を、いちばん近くで見て来たのは他ならぬ結城。

前向きに考えます、と答えてくれていました。
こちらの後継問題も気にはなりますが、個人的には結城君しか居ないのでは、と思えたりします。かわいがられ、一人前の職人に育ててくれたのは、他ならぬ浩太でしたから…



さて、舞に一本の電話がかかって来ます。
なんと、大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」の先輩だった、刈谷(高杉真宙さん)からでした。

刈谷が、同期の玉本と開発に取り組んでいるものは、なんと「空飛ぶクルマ」!
御園さんの一言でわかるのですが、いっぺんに舞の表情が変わるところが、さすが舞。
というところで、第24週はおしまい。

第25週「未来を信じて」予告編より。
3冊目の歌集を企画されている貴司に、またも苦悩する日々がやって来るよう。






さらに、その久々の刈谷先輩たちが登場しての「空飛ぶクルマ」開発計画。これがどうやら、最終盤への主軸になりそうに感じます。

いよいよ、残り2週になりました。明日からは次作「らんまん」がはじまるので、あくまでわたしのブログ上では(苦笑)恐縮です…
引き続き、作品を噛み締めながら項を進めたいと思います。
次回に続きます。
今日はこんなところです。