Fiio X5 3rdです。
5万円前後の価格でAKM4490を2枚搭載するという、AK380に対する価格破壊を仕掛けた機種ですね。
安いから、と言って各部の作りが雑だったり、品質が悪かったりといったことがあまり目につかない、Fiioらしい一生懸命作った感が好感をもてます。
ただし、私のところにあるモノは、購入後しばらくしてロータリーボリュームの動作がおかしくなりました。
上下どちらに回しても音量が大きくなるという、ありがちなトラブルです。
幸い、本機はリモコン付きイヤホン、ヘッドホンを接続するとちゃんと調節できるので、現在は体外はそちらで対応しています。
かたや50万円もするプレイヤーと同じ仕様でこんなに大胆なコストカットをすれば、どこかに無理が出るのも当然ですよねぇ。
さて、本機はほかにも、Fiioとしては初めてAndroid OSを搭載した機種です。
発売当時はファームウエア、ソフトともに粗削りな感じ拭ぐえなかったものですが、度重なるアップデートにより、現在はほぼ不満に思うことはなくなりました。ある時から急にUIが変更になったりして、戸惑うこともありましたが、電池の持ちもよくなりましたし、Fiioの開発頑張ってるなーという感じです。
発売当初の状態では、とてもほかの人に勧められる機種ではなかったのですが、今現在の状態であれば、価格もこなれてきてますし、十分お勧めできるかなぁと思います。
さて、肝心のサウンドですが、本機はそれ以前のFiio各機とはまるで違う、ドライで冷たい感じのするサウンドです。
これはAKMのDACを採用したことによる影響をもろに反映していると感じます。
正直な話、私はあまりAKMの素のサウンドが好みではありません。
いかにも日本人的というか、平均点ちょっと上みたいなところを狙ったそつない感じがどうも気に入りません。
解像度も高いですし、変な癖もありませんが、何となく味気ないサウンドに感じます。
基本性能は確保するから、ほかの部分は利用する側で何とかしてね、みたいな、事なかれ主義みたいなのが透けて見えます。
まぁ、個人的な意見はこのくらいにしましょう。
本機に話を戻します。
本機は上述のように、ドライ&クールなサウンドなので、音楽を分析的に聞きたい方には向いているのではないかと思います。
とてもエッジのきいたサウンドなので、若干暑苦しい、もといウォームなサウンドを出すイヤホン、ヘッドホンとの相性も抜群です。
さらに言えば、あまり解像度の高くない、ぼやっとしたサウンドのイヤホン、ヘッドホンを接続すると、全体的にシャキッとしたサウンドに変化しますので、意外に使い道が多いと感じています。
私の所有している中では、Klipsch X11iあたりが相性がよろしいと感じます。
Klipschのイヤホンは装着感の良さやシングルBAらしからぬサウンドで人気ですが、実はハイレゾ対応ではない機種がほとんどですし、今となってはそんなに解像度が高いとも言えないものが多いです。
この辺の事情と、本機の際立った鋭さというか、冷たさやドライさがうまいことかみ合って結構いい感じになります。
半面、エティモチックリサーチER3やSony XBA100のような、解像度メインの機種をつないでしまうと、私にはちょっとキツイ感じがして聞いていられません。
中華系の高音域がかなり際立ったサウンドを出すものについても同様で、きつすぎて聞いていられないものが多いです。
総じて、ちょっと古めの「名機」を使っている人や、ダイナミックドライバ機の音が好きだけど解像度がちょっとなー、とか思っている方には向いているように思いますね。
一気に最新機種と肩を並べるサウンドにできるのではないかと思います。
さて、以上のように、本機はそのエッジのきいたサウンドに特徴があります。
普通に聞いてしまうと特徴のないドライなサウンドに聞こえる方が多いのではないかと思いますが、だからこそ生かせる組み合わせが結構はっきりしています。
極端な話、かなりお安めのイヤホン、ヘッドホンをつないでもそこそこ聞けるサウンドにしてくれるので、DAP沼にこれからはまりたい人向けかもしれないですね。