AZLAです。

本機については、初めにレビュー環境に説明を付け加える必要があると思っています。

 
まず、私は当機を新品価格の1/10〜1/20で入手しています。
当然入手当時の状態は良くなく、ケーブルについても純正品は付属していませんでした。
よって、本体はレストア&ケーブルは社外シルバーコート品を使用しています。
本体は状態が良くないとは言え、入手時に音が出ない等の問題は無かったです。
見た目がかなりアレでしたが。
 
入手品はグレーのカラバリモデル。
端子部にヒビも入ってますが、音漏れや不具合を生じるレベルではありません。
とりあえず透き通った部分は綺麗になりましたし、普通に使えるレベルにはなったかと。
 
そんなお値段だったので、とりあえずどんなモンだか試してみっか、程度の気持ちで入手してみたのが実情です。
ローンチ当時は結構話題になりましたしね。
 
さて、レビューを。
 
外観は、見ての通りかなりのインパクトがありますね。
大きいですし、中身がスケスケです。
構造思考がその他のイヤホンと異なるので、ある程度イヤホンの構造に明るい人こそ注目するかもしれませんね。
外装のほとんどは透明なポリカーボネイト製ですが、肝心な部分には金属製部品があしらわれていて、安物っぽさはありません。
まぁ、ローンチ値段にふさわしいかと言われると、首をかしげますけど。
純正品ケーブルは有名な某ケーブル屋さんと共同開発品らしく、今となってはそっちの方が価値が高くなってる様です。
入手品もそんな事情から、ケーブルだけ抜き取られたドンガラ状態のお品でした。
状態からするに相当ヘビーユース&メンテフリーだったでしょうから、ケーブルの状態もいかがなものかと思いますが、ケーブルだけにされたらそう言ったことはわかり辛いでしょうしねぇ。
おっと、余談が過ぎますね。
 
サウンドレビューを。
 
さて本品、見た目に違わず相当変わったサウンドを奏でます。
解像度や各パートごとのクオリティ、サウンドステージなど、それぞれをバラして考えるとレベルは高いと思いますが、それらが組み合わさった全体のバランスで見てみると、珍妙というか、かなり癖の強い商品です。
筐体が極めて大きい&重量もそこそこ&重量バランス点がノズルから離れているなどの理由から、装着感の面でローンチ当時酷評されていましたが、そこはイヤピースやケーブルによって解決可能。
最も問題なのは、サウンドバランスの方じゃないかと思います。
 
とりあえずハッキリ言えるのは、ボーカル曲を聴くのには向きません。
男性女性に関わらず、ボーカルパートの音域が強調された低音高音に埋もれ、引っ込んで聞こえます。
ボーカルも含めた曲全体を聴く、という聴き方なら問題にならないかもしれませんが、ボーカルを追っかけようとした場合、何だかモヤッとした気持ちになります。
もっともこのモヤッと感はたとえボーカル曲でなくても感じるのですが。
 
抽象的に言うと、大きな絵画を鼻先3センチの距離で観させられている様な感じで、スケール感は分かるのだけど全体像が見えにくいというか、今見ているところから一瞬でも目を離すと自分がどこをみていたのか分からなくなるというか、なんとなく全体的にポワッとした感じを受けます。
 
特殊な構造によって、キチンと装着することができれば閉塞感を感じることもなく、サウンドステージも横に広くて耳障りの良いサウンドなので、長時間聴くのに向いています。
曲全体を俯瞰で聞くのに向いている感じでしょうか。
 
一風変わったサウンドのモデルが欲しい、と言うときには真先に候補に挙がる、と言ったモデル。
 
サウンドバランス的には高音と高音パートが強調されたドンシャリです。
特に低音側はスケールの大きいサウンドなので、大編成のクラシックなどはかなりいい感じで聴けます。
また、ボーカルは向かないと言いましたが、ライブ音源の様な会場の熱気みたいなものまで録音された音源はライブ感をそのままに聞けたりします。
 
なんでしょうね、このイヤホンは入手してからこのイヤホンに合う音源を探す、という感じでしょうか。好みと音源がバシッと決まれば相当気持ちよく聴けますが、著しくスイートスポットが狭く、面倒なのは嫌いという人には向かない感じです。
 
オールマイティに使える感じではないので、イヤホン玄人向けのサブ機と言った位置付けですね。
 
と、文字にするとディスって聞こえますが、私個人としては結構お気に入りだったりします。
大編成クラシックのこの迫力は、チョット他では味わえないモノなので、きっと手放す事はない様に思います。