パイオニアさんのprivate XDP-30Rです。

イロイロ不具合持ちで散々な評価のモデルですね。

私の所有しているモノも、ディスプレイ下部のキャリブレーションがおかしく、タップした部分とは違う部分が反応したりします。

そもそもシステム的にもどうも遷移が洗練されておらず、かなり使い辛いと言うのが本音です。
頑張って自分トコで作ったのでしょうが、正直なところ中華プレイヤーの方がマシかと。

また、ディスプレイの解像度という部分でもかなり見劣りのするレベルで、正直観るに値しないです。

本体の作りとしても、1万円未満の価格ならいざ知らず、もうちょっと頑張って貰いたい感じで、特に背面は・・・。

ただ、コレは音楽を聴くモノなので、そんなところは慣れてしまえばどうと言うことはないです。

さて、そんな目に見える部分が相当足らん子ですが、そのサウンドは一聴の価値あり、です。

私が所有しているものでESS社のDAC搭載機はコレが初となりますが、音の厚み、艶、バランスなど、どこをとっても不満はないレベルかと思います。
当機は左右独立でDACもプリアンプも2機掛け、という大盤振舞いぶりで、サウンドという面では価格を凌駕するレベル。
これまた所有する中で2機掛けはこれが初めてで、2倍にする事の意味を存分に味合わせて頂きました。

また、当機は2.5mmバランス接続にも対応し、さらにハード的な鳴らし方も2つのモードから選択できます。
もっともノーマルとAGCモードでのサウンドのレベル差が明確なのでAGCモード一択になるかと思います。
バランス接続対応機は3台目となりますが、これに関しては間違いなく当機が一番優れていると思えます。
バランス接続時の不自然な左右の分離感がなく、とても自然に聴こえるけれど明確にアンバランスより良いと言う、今時点でのバランス接続の理想形かと思います。

結構持ち上げましたが、一方で当機は出力側(イヤホン、ヘッドホン)を結構選びます。
元々があまり低域を豊かに鳴らすモデルではないので、高音が得意なイヤホンと組み合わせると明らかに低音域が足らない印象に。
サウンドの印象もどちらかというと油絵的な透明感があるタイプではないので、こもって聴こえる様なモデルとは相性が良くありません。

使い勝手や出力側を選ぶサウンドは相当に癖があるのでオールラウンダーとしてはどうかと思いますが、組み合わせによるサウンドの追求や操作に慣れおよび諦めが必要な部分など、チョット懐かしのオーディオ機器を思い起こさせる当機は、初心者向けとは言えないと思いますが、遊びの為の機械としては相当面白いと思います。

日本製のオーディオ機器はどうも面白くないと思っていた筆者ではありますが、当機はそんな印象を良い意味で覆してくれた味のあるモデルです。
全てに完璧を求める向きにはオススメしませんが、大人の余裕を持って使える方には面白いと思いますね。