先週、オリンピックの代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権が行われました。


男子200メートル背泳ぎで優勝した入江選手は100メートルで代表を逃し、前夜、高校と大学の先輩山本貴司選手の部屋を訪れ、不安な気持ちを吐露し励まされたそうです(こんな感じの話だった)。


水泳はリレーを除いて個人種目、でも仲間同士、先輩後輩の繋がりって大きいんですね。


このエピソードを聞いて思いだした感動話があります(子供の頃の古い記憶なんで細部は間違ってるかもしれません)。


1992年のバルセロナオリンピックの柔道競技での出来事です。

生まれてない方もいらっしゃるかもしれませんが、かなり有名な話なんでご存知の方もいらっしゃるかと思います。


前全日本女子柔道チームコーチの古賀稔彦選手と現在総合格闘家として活躍中の吉田秀彦選手の話で、この二人は柔道私塾の講道学舎の先輩・後輩の関係になります。


この大会において古賀選手は金メダル確実と言われていたんですが、大会前の吉田選手との練習中に左膝に大怪我を負ってしまいました。


この時、誰もが金メダルどころか出場さえも諦めざるを得ないくらいの重傷だったそうです。


それでも古賀選手は痛み止めを打って出場を果たしました。


しかし、足の状態は通常試合を出来るような状態ではなかった上、怪我の後は動けなかったためほとんど絶食による減量を強いいられ、体力面を考えても優勝は絶望的かと思われてました。


その前日、吉田選手は圧倒的な強さで金メダルに輝きましたが、全く笑顔がなく終始硬い表情のまま次の日の古賀選手のことを気づかっていました。


金メダルを取って、こんな反応を示した選手は、後にも先にも他に記憶がありません。

金メダル確実と言われた先輩に大怪我をさせてしまったという思いが、それだけ強かったんでしょうね。


この後輩の姿は、古賀選手に大きな力を与えたのかもしれないですね。後輩のためにも絶対に金メダルを取らなければと…


古賀選手は痛めた足をかばいながらも何とか勝ち進み、そして決勝を迎えました。

決勝は一進一退の攻防で判定勝負となりました。


主審が古賀選手の勝利を告げた瞬間の絶叫して涙する古賀選手、心の重しが取れたように涙を流し自分のことのように喜ぶ吉田選手の姿、その後2人が涙を流しながら抱き合う姿は、本当に今でも鮮明に記憶に残ってます。


今振り返ってみても古賀選手の金メダルは本当に奇跡的だったように思います。


でもこのような先輩と後輩の強い絆がこのような奇跡を引き起こしたのかもしれません。



これが、今でも僕の一番記憶に残ってるスポーツの感動シーンです。

今思い出しても涙が流れてきますね。