第二部
朝鮮大学校 李柄輝准教授を招き講演会を行いました。
題名は未完の過去清算を問う-在日朝鮮人の視点から
1.2010年在日朝鮮人の体験
①日本の在朝鮮人政策
(高校無償化除外問題、外国人地方参政権問題、新外国人管理制度)
②未完の過去清算
③過去清算の枠組み
2.朝・日「過去清算」の現況と課題
①日本の植民地支配の正当性と適法性をめぐる論争
②「植民地責任」概念とその射程
(過去清算をめぐる責任論-戦争責任、戦後責任、植民地責任)
③在日朝鮮人の植民地被害
3.過去清算にむけての実践
①在日同胞社会の未来像-近代的政治主体としての道
-連邦制統一朝鮮主権機関(北・南・海外代表)を通じた国家主権の行使
-統一政府と日本政府合意による地方参政権の行使
→朝米、朝日、南北関係の解決
②政府間交渉を後押しする下からの運動の展開
③運動主体の形成にむけて-「民族」を共通項とする緩やかなネットワークの形成
■以下資料内容
延坪島砲撃事件の翌日、日本政府は高校「無償化」制度を朝鮮学校に適用するための手続きを停止
した。朝鮮半島情勢が緊迫し「平和という前提が崩れた」との理由である。
専門家会議や民主党内の議論を経て、外交問題とは関連付けないとの基準を示した直後の、急展開
であった。
在日同胞の歴史的経緯を踏まえると日本政府の判断は植民地主義の誹り免れない。
周知の通り「韓国合併条約」によってすべての朝鮮人は「日本国民」となった。それは国籍の押しつけ
にとどまらず、朝鮮人の名前や言語、そして個々のアイディンティティーさえも「日本」に取り替えてい
くプロセスであった。
解放後、ほんこくに住む朝鮮人は、分断された状態とはいえ新政府の施策により心身刻み込まれた
「日本」を払しょくし、民族的な回復を遂げて行った。だが、在日同胞たちは平和条約(1952年4月)
と同時に、日本国籍を離脱したものの本質的な意味での脱「日本」化を果たせずにしる。
本来ならば、日本政府こそが在日同胞の民族的な回復の手立てを講じるべきであり、それが旧宗主国
としての道理であろう。
ゆえに、民族教育の保障は、戦時暴力被害者への補償と並ぶ「未完の過去清算」問題として捉えなけ
ればならない。