晴イオン雨イオン【晴れの日は家にいても、することが無く暇だから、とりあえずイオンに出掛け、雨の日は遠出ができないので、やる事ないからとりあえずイオンに行くこと】


 当然こんな言葉は無く、晴耕雨読の四文字熟語をいじったものだ。


 私の住んでいる所は車が無いと移動が大変なため、一家に1台ではなく、1人に1台という具合だ。イオンの数千台が停められる駐車場は休日ともなると、常に混み合う。イオンの中の、ある店舗で働いている私は、その混雑具合を直に見ている。よくもまぁ、こんなにたくさんの暇な人がいるもんだと言うのが、正直な感想だ。


 通路に設置されたソファで、まるで我が家にいるかのように、だらしなくもたれている人。平日の仕事で疲れているのか、眠りこけている旦那さん。支払いが済んだら、レジ打ちの店員に会釈も無く、品物を奪うかのように持って立ち去る客。休日だから家族で来ているのだろうに、子供はスマホ、親は日頃のストレスのせいか、イライラしているのが目に見えて、実につっけんどんな態度。

 肌で感じているが、冷たい目、死んだような精気の無い目、侮蔑的な目をした来客数は確実に増えた。先ほど書いた人たちの目は例外なくこれらの目をしている。お会計のあと、ありがとうを言ってくださる思いやりのある目のお客様は実感として、2 割も行かないだろう。感謝を忘れた人の目は、その人の心情をよく映し出す。大人、子供、年齢、性別すべて関係なく。


 もう晴耕雨読という言葉に、復権のチャンスは無いのだろうか。イオンの中に書店もあるが、「不安な老後に投資信託」というような、冗談も休み休み言えと言いたくなる本が目立つ場所を陣取っているのでは、その望みはかなり薄い。どんな本を読めば分からないと言うなら、お得意のスマホで調べれば良いではないか。雨の日なら家で自分で選んだ本くらい読めばいい。正しい目を養う一歩になる。暇ならば1冊の本を読めば良い。