あるところにお砂場遊びが大好きなまいちゃんがおりました。
お母さんが
「お友達と遊んだら?」って言っても
「イヤ、一人でお砂場で遊ぶ。」
って朝から晩までずーとお砂場で遊んでいました。

だってお砂場は想像の世界。
好きなものを好きなように作れるんだもん。。。

まいちゃんはいつも必ず同じものを作ります。
まず、大きなバケツに砂を入れて、ひっくり返して大きなプリンの出来上がり。
その周りに小さなプリンカップを使って、ひっくり返してプリンがいっぱい。
後は手でぎゅうぎゅうお団子を作って、大きなプリンの上にのせて、
木の枝と葉っぱで飾りを付けたら
うわー美味しそう!!!
特大プリンアラモードの完成です。

今日も上手に作れたな。
まいちゃんは汚れた手をパンパンたたいて砂を落としました。
と、その時後ろから小さな声がしました。

「ガトーショコラの作り方を知ってるかい?」
びっくりして振り向いても誰もいません。
おやっ?
「ガトーショコラの作り方を知ってるかい?」
木の上の太った黒猫が、目をまるまるさせてこちらを見ています。
「あなたなの?」
太った黒猫は木から飛び降りると、2本足で立ってひげをピーンと整えました。
「君はこの前からプリンアラモードばかり作っている。少しはうまくはなったがそれだけではダメだ。今日からこの私がお菓子の作り方を教えてあげよう。金はいらんぞ。」
と得意になって言いました。
まいちゃんはぽかんと口を開けたままになっていましたが、はっとして
「はい、お願いします。」と頭を下げました。
「よろしい。では、」

太った黒猫は、まいちゃんの使っていたお砂場セットをきれいに洗いました。
「道具はいつもきれいにするように。」

その後大きなバケツに砂をぎゅうぎゅう力を込めて入れました。
「お菓子作りは体力勝負。」
そしてバケツを勢いよくひっくり返りました。
最後に白い砂を上からパラパラとかけて
「飾りは慎重に。はい、完成!!!」
ガトーショコラが出来上がりました。
まいちゃんも手をたたいて喜びました。

太った黒猫は体を丁寧にはらい
「明日はミルフィーユを作ろう!」と言って帰っていきました。
まいちゃんは後姿が見えなくなるまでずっと見送りました。

「まい、そろそろ帰ろう。」お母さんです。
「お母さん、ガトーショコラの作り方知ってる?」
「ええ、知ってるわよ。どうかしたの。」
「明日必ず作ってね。」

まいちゃんはお母さんの腕に巻きつきながら、笑いをこらえて帰ったんだって。おしまい