その意外な人は昔から知っているKさんで3年ぶりぐらいだったのです。


二人とも視聴覚室で立ったまま、

「めずらしいところで会うね。一体どうしたの?」

「うん、まァ・・・」
と返事ができずにいる私を見かねたのか、

「ここじゃなんだから外に出よう。」


と、係りの人に両手でバツの合図をして、
今から見ろうとするDVDを見らずに外に出たので、
私もつられて重いリュックサックを片手に出たのです。


外で今までの成り行きを少し話すと、
「どうせ泊まるところがないなら俺のところにこいよ。」

「はい。」と小さな声で返事すると同時に、
Kさんは自分の自転車に乗り、すぐにペダルを踏み出したのです。


私も遅れないように後ろを自転車で追って行ったのはゆうまでもありません。
心の中では「泊まるところが確保できた!」と喜びながら・・・


図書館から10分ぐらいの距離で着いたアパートは、
木造2階建てで築25年ぐらいの4世帯あるちょっと古めのアパートで、
その2階の1DKの部屋を借りていたのです。


部屋に入ると、
DKは4畳半に真新しい小さめの冷蔵庫やレンジが置いてあり、
6帖間はタンス置きの板張りがついた昔風のジュラク塗りの和室、
浴室は洋式トイレと一体式のユニットバスで、


掃除も行き届いた小奇麗な感じで意外と広いなと感心しながら、
私の荷物を冷蔵庫の横に置かせてもらったのです。


「まァ、コーヒーでもどうですか」
いつのまにかお湯を沸かしインスタントコーヒーを入れていたのです。
「ありがとうございます。いただきます。」


熱いコーヒーを飲みながら6帖間の和室で向かい合いながら、

「俺はすぐわかったぞ。midoruクンの風体を見てただごとではないと・・・」
「・・・・」


「まァ落ち着くまでここにいていいよ、そして生活保護の申請でもするといいよ。」
「生活保護って・・・?」


「じつは俺も1年半ぐらい前から生活保護の暮らしをしてるのさ、
仕事もなく、肩も壊して今は病院に行くのが仕事みたいなもんさ。」

「そんな生活できるんですか?」
「要件を満たしておけばいいよ。
話を聞くとmidoruクンは生活保護受給の要件はそろっているみたいだから・・・」


その生活保護受給の要件とは、


●生活保護は足りない部分を保証する制度で、

「国で定める最低生活費を下回る場合に、足りない部分について保障する」制度です。
仕事の給与、年金、各種福祉手当、仕送、保有資産などを合計して、
なお最低生活費に満たない場合に、その足りない部分が保護費として支給されます。
あなたの収入が最低生活費を上回る場合は適用されません。


●受給適用のケースとして、

まず、個人ではなく世帯全員の単位です。世帯全体の収入合計が最低生活費を上回ると受給できません。
例えば、最低生活費を上回る収入があるが、
夫がパチンコ好きで家に収入を入れてくれず生活できない場合などは適用されません。
借金の返済額も同じです。自己破産・離婚などをしたうえでの申請になります。


●基本は「働いてください」です。

「基本は働いてください。それでも無理なら保護します」ということです。
ですので、働ける状況にあるのに働かない人は適用外になります。
ここが、かなり曖昧なのですが(人それぞれ様々なパターンがあるため)、
何れにせよ「働きたくない」という理由では生活保護受給の資格はありません。


●所有資産は認められない。

生活保護受給には、保有資産を処分する必要があります。
:自家用車
:生命保険
:持ち家(ローンが残っているとき・完済している持家は状況により要相談)
:パソコン(福祉事務所が個別的に判断しているのが現状のため曖昧である)
:預貯金(合計数万円程度は認められるが、それ以上は生活費に消費してから申請)


●身内の援助

三親等内の親族には扶養義務が発生します。一般的に、「親兄弟子供」が扶養の範囲に入ると考えてください。
「あの人に援助してもらうのは嫌だ」というのは認められませんので注意。


●制度は利用した上で

高齢者なら年金や介護保険、母子家庭なら児童扶養手当・児童手当、失業中なら失業保険など。


このように、
生活保護受給の資格を得るにはできることはすべてやった状態でなければ受給条件はクリアされません。

生活保護は他の行政サービスとは異なり、
適用の条件が生活の全般に渡り、
かなりプライバシーに踏み込んだ形で初回の面接のことが行われます。



私の場合を当てはめてみると、

●生活保護は足りない部分を保証する制度では、
 今は収入がゼロだから最低生活費に満たない。


●受給適用のケースとしては、
 独身でも受給できる。


●基本は「働いてください」では、
 失業中で仕事を探しているけど今はない。


●所有資産は認められないでは、
 自家用車も信販会社に引き取られ今はない。
 生命保険は以前から払えずキャンセルになっている。
 

 持ち家はローンが払えず競売で落札され、今は住む家がない。
 パソコンは2台所有していたが、荷物になるので置いてきた(不用品として処分されている)
 預貯金の切り崩しで生活していたので今はない。


●身内の援助では、
 兄妹がいるが居所がわからないものや、自分の生活で精一杯で人様まで助ける余裕がない。


●制度は利用した上で、では、
 年金はまだもらえず、失業保険は手続きしていないのでもらっていない。


なるほど、
今の私なら生活保護受給の要件は満たされているようだと自分で納得しながら、


「俺も生活保護受給までは苦労したから、色々ノウハウはこれから教えるから」
とKさんは熱いコーヒーをフウフウと冷まして飲みながら言います。


「よろしくお願いします」
と、ホームレスもせずに寝るところが確保でき、
また生活保護受給の話まで知ることができ
感謝の気持ちがいっぱいで返事したのです。


そして、
Kさんはまずこれをした方がいいよといいます。


それは・・・



つづく。


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