自分が物心ついた頃には、既に家にあった「にほんご」という本に載っていた話です。

その長い名前を今でも一字一句違わず覚えています。

内容は

ある夫婦に子供が出来、夫婦はその子に「ちょん」と名前をつけました。
その子は産まれて一月で病にかかり死んでしまいました。
悲しみに暮れる夫婦は思いました。短い名前にしたから、早く死んでしまったのだ、と。

しばらくして、また子供を授かりました。今度は、こう名付けました。
「わっほいきゃっほいそうらんみょう、ととんきぽんきなんてんぼう、しゃあもうつうれいこうせいだい、ぐわろんほろんのとっぴっぴ、そんだらもんやののんぜや、こきくこけかくきまあるまる、ちょろちょろべえのちょうえもん」

今度は、健康的に育ちました。夫婦も安堵しました。


そんなある日、近所の子供が駆け込んで来てこういいました。
「おじちゃん!大変だ!わっほいきゃっほいそうらんみょう、ととんきぽんきなんてんぼう、しゃあもうつうれいこうせいだい、ぐわろんほろんのとっぴっぴ、そんだらもんやののんぜや、こきくこけかくきまあるまる、ちょろちょろべえのちょうえもんちゃんが川で溺れたよ!」

父親は慌てて、
「何だって!うちのわっほいきゃっほいそうらんみょう、ととんきぽんきなんてんぼう、しゃあもうつうれいこうせいだい、ぐわろんほろんのとっぴっぴ、そんだらもんやののんぜや、こきくこけかくきまあるまる、ちょろちょろべえのちょうえもんが溺れただと!」

叫んで家を飛び出しました。

「おーい!わっほいきゃっほいそうらんみょう、ととんきぽんきなんてんぼう、しゃあもうつうれいこうせいだい、ぐわろんほろんのとっぴっぴ、そんだらもんやののんぜや、こきくこけかくきまあるまる、ちょろちょろべえのちょうえもん!今助けに行くからなー!」

父親が川に着いた時、こどもは既に死んでしまっていました。

おしまい