広島電鉄が導入した「モビリーデイズ」。当初の説明では、開発コストやシステム運用コストを抑え、その分を運賃割引として利用者へ還元することが目的だとされていました。
その考え方自体は悪くありません。しかし、本当にそのシステムは「利用者のため」になっているのでしょうか。
2025年8月、新しい広島駅への路面電車乗り入れが始まり、広島には全国、そして世界中から多くの観光客が訪れるようになりました。ところが、そのタイミングで全国の交通系ICカードを乗車時にタッチしても反応しないという分かりにくい仕組みが、多くの観光客の混乱を招きました。
そして2026年7月になってようやく、交通系ICカードでも乗車時・降車時の両方でタッチする全国標準に近い運用へ変更されました。最初からこうしておけば良かったのでは、と感じた人も少なくないでしょう。
一方で、モビリーデイズは基本的に広島市民や沿線利用者向けのサービスです。日常的に利用する人には便利ですが、年に一度しか来ない観光客や海外からの旅行者にとっては、わざわざ登録して利用するサービスではありません。
新しい広島駅の開業で観光客が増えることは、誰もが予想できたはずです。そうであれば、全国や海外でも利用者が増えているクレジットカードのタッチ決済を最優先で導入することが、最も利用しやすい選択だったのではないでしょうか。
しかし、現時点でもその環境は十分とは言えません。
広島は福岡や関西という大都市圏に挟まれ、人口減少も続いています。これから街の魅力を高め、多くの人に「また来たい」と思ってもらうためには、市民だけでなく観光客やビジネス客にも使いやすい公共交通が欠かせません。
街づくりや交通政策は、一部の関係者のためではなく、市民、観光客、そしてこれから広島を訪れるすべての人のためにあるべきです。
モビリーデイズは、本当に誰のためのシステムだったのでしょうか。
今こそ、その原点を改めて考える時ではないでしょうか。













