シューマンのピアノ協奏曲を聴いてみます。
彼唯一のピアノ協奏曲です。
ピアノ独奏曲同様、ロマンの薫りプンプン充満するピアノ協奏曲です。

このピアノ協奏曲に関してのことは、いつも通りネットや書籍で確認して下さい。

今回聴いた演奏は、1942年に録音された演奏でヴァルター・ギーゼキングのピアノで伴奏はヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団です。

ギーゼキングのピアノは、過渡なロマンを排除しシューマンの書いたピアノのパートを、テンポを動かしたりや和声の変更、誇張された誇張をせずシューマン作曲家が書いた楽譜に忠実に演奏する当時流行った新即物主義そのものの演奏をしています。故にその演奏には、明快なシューマンの形式感と清澄な響きのピアノが聴くことが出来ます。録音時期が古いので、ギーゼキングのその繊細なピアノのタッチやペダリングの妙が聴けないのが残念です。

対する伴奏のフルトヴェングラーとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏は、ギーゼキングと真逆のロマンの薫り薫り立つ演奏で、テンポは動き迫力ある誇張が頻繁に現れ、フルトヴェングラーに合わせるのに苦労したと思います。

両者の相反する演奏が相殺され、まさしくこれが協奏曲の醍醐味であり、互いの演奏家の火花散る競争曲と言ったスリリングな演奏をしています。

ピアノと指揮者の激しい激突では、古今東西の幾多の名演の中で1、2を争う演奏です。
ここまで、激しいシューマンのピアノ協奏曲の演奏は珍しいです。

ベルリン・フィルは、そんなピアノと指揮者の闘いを傍観しながら熱くならず冷静にフルトヴェングラーの指揮に反応し、ベルリン・フィル一流の卓越した演奏技術、能力を自慢するような演奏を聴かせてくれます。
こちらも、最新の録音技術で聴きたかったです。

ピアノとオーケストラが織り成す協奏曲の醍醐味を味わえ、両者の真剣勝負(そう、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島の対決のような)が垣間見れる録音時期に関係なく名演であることは、間違いないです。
特に、第3楽章の両者の演奏は凄まじくピアノと指揮者の火花散る一気呵成に雪崩を撃つ演奏は、圧巻であり、聴きものです。

ホロヴィッツとトスカニーニのチャイコフスキーのピアノ協奏曲の演奏と類似してます。

激しいピアノと指揮者の対決を聴いてみたい方には、お薦めの演奏です。