君が親を知らず施設で育ったとすると

なにか心に穴の様な、しこりの様な、

もやもやした何かを抱えて人生を生きるだろう

それって何だろう

多分自分でもうまく説明できない類のものだよね

 

少し考察してみた。

そもそも人はなぜ命のバトンをつなぐのかな

いつか地球なんて無くなって、人々の幸せも記憶もチリすらも

全て無くなってしまうのに。

近い未来だけを見据えて、人々は命のバトンをつないでゆく。

 

ある日君はこの世に生まれ落ちて「おぎゃー」と泣いた。

初めて命の産声をあげたときだ。

なにかの運の悪さか悲しい出来事のせいで

目を開けると君の傍に守ってくれる「誰か」の姿はない。

 

ぽっかりと中空に浮かんだバトンを手にして君は

それを渡してくれた「誰か」を探すけど

君はそれを見つけられない。

 

冒頭に書いたもやもやした何かって多分そこだと思うのさ。

 

「僕は誰の何を受取ったのだろう?」

それがぽっかりとわからないまま、

「?」をアタマの上にのっけて人生を生きることになる

 

ウロウロする君の頭の上にはいつも「?」が乗っている。

 

不幸とかじゃなくて疑問符だよね

何が判らないのかも判らない、そんなかんじ。

 

君はやがて大人になり恋人と巡り合って

子どもを授かったとしたら、その時とても戸惑うと思うよ。

バトンの渡しかたを知らないのだもの。

 

でもね、あんまり考えない事さね。

ぶんぶんと頭を振って、ずっと頭に乗っけていた

「?」をゴミ箱に捨てようよね。

 

君が次の命にバトンを渡すとき、

「?」を一緒に渡してしまわないように。

君の子どもが将来アタマに「?」を乗っけて生きなくて済むように。

 

君が悩みつづけた正体の判らない「何か」を引き継がせないようにゴミ箱に捨ててしまうんだ。

 

君が抱えて捨てて終わらせるんだよ。

それが君の一番のしごとだと思うのね。

多分だよ、多分そうなの。