2008年頃から児童養護施設の支援をしている。それは僕自身が、幼少期を児童養護施設で暮らしたことが根っこになっている。

 児童養護施設の子供たちは家庭環境に恵まれなかっただけで、ごく普通の子供たちだ。出来る事なら社会に出て、くじけることなく幸せに生きてほしいと願う。

 僕の場合はというと、社会に出てからはあまり他人には言えない様な生き方をして、ぐねぐねと曲がって生きて今の自分がある。でも、そんな僕だから出来る助言も支援もあると思っている。

 施設の子供たちが一番苦労するのは社会に出る時だ。普通の家庭であれば支えてくれる家族のつながりが無かったりするから。

 例えばアパートなどの契約ごとや、場合によっては就職さえも保証人を必要とされることがあるし、社会に出ても職場や人間関係で躓いたとき、お金に困ったとき、頼って帰る実家も家族もない。

 

 ちょっと想像できないかもしれないが、家の電話を普通に受け答えするとか、ご飯を炊くとか、玄関のカギを閉めて出かけるとか、電車の切符を買って乗るとか、普通の家庭では自然に学ぶことが、経験値として少なかったりする。

 

 そんな施設児童たちの独り立ちのサポートを、僕はこの町で出来たらと思っている。

 

それは簡単なことではない。システムも制度も大切だけれど、一番大事なのは個々に頼ってもらえるような心かよう人間関係を構築する事だからだ。

 

 この夏、埼玉の児童養護施設の子供たちを東松島に招いた。宮戸の民宿に泊まり、月浜海水浴場で泳ぎ、釣りやカゴ漁体験をし、バーベキューや花火をして沢山遊んでもらった。ほんの数日だったけど、本当に楽しそうに過ごしてくれた。

 

 旅行の帰り際子どもたちが言っていた。

「また東松島に来たい!」

これほど嬉しかった言葉はない。