盲目的な恋と友情。タイトル通りの小説。

ミステリー要素も詰まった、実に文学的で、狂っているけど美しいような物語だった。

盲目的な恋はよくある話かもしれない。

でも盲目的な友情はどうだろう。

恋とはまた違うけれど、異常に依存し、暴走する。

蘭花とるりえ。それぞれの視点からの口調で、見えなかったものが見えてきて、全く噛み合っていなかったことが明らかになっていく様が滑稽であり痛くもあった。

まさしく盲目的。周りが全く見えず、己の狭い世界の中で喘ぎ、もがき苦しむ二人。

そして迎える最悪な結末。

あとがきにもあったけど、この作品は辻村深月さんがつくりだすいつもの雰囲気とはなんだか違っていて、芸術的だった。

クラシック音楽を聴いているような、もはやアートみたいなリズム感。

イヤミスな展開も良かった。

そしてここまで暴走せずとも、蘭花とるりえ、それぞれの要素が自分に全くないと、私は言い切れない。

だからこそ痛々しく、心に刺さる小説だった。

実写化されてほしいけど、この原作の面白さには敵わないだろうなとも思う。これは文学だからこそ、美しいような気がする。