芥川受賞作。
刺さりまくった。
読む前のわたしが、とても愚かで傲慢で情けなく思える。
電子書籍は嫌い。紙が好きだから紙の本しか読みたくない。
そんなことをだらだらと言っていたわたしは、電子書籍という形じゃないと読むことのできない人がいるなんて考えもしていなかった。
本当に恥ずかしい。
『子供を妊娠して堕したい』という願望。
ふつうに付き合って、別れて、付き合って、妊娠して、堕して、また付き合って、なんていう行為に追いつきたいというその思いに、健常者の贅沢を贅沢だと知らない愚かさが身に染みる。
YouTubeで市川沙央さんが仕事している姿をみたけど、まっすぐで几帳面なイメージがあった。
MacBookとかを綺麗に並べているのを見て、ガサツなわたしは見習うべきだと強く思った。
その仕草から、彼女がどれだけ丁寧に生きているかがよくわかったような気がした。
一つ一つの仕事をしっかりと確実に、丁寧にこなしていらっしゃるのだろう。
最後のエピソードには、また驚愕させられた。
この小説はただの小説じゃないと確信させられた。
なぜ2023年になってやっと、身体障害者が受賞したのかをよく考えてくださいという作者の言葉が刺さる。
たしかに出版業界は、障害者に対してまだ全然優しくない。
読書好きな一人として、全ての人が読書を楽しめる世界に、早くなってほしいとわたしも願う。