Fortune comes in by a merry gate.

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笑う門には福きたる

Amebaでブログを始めよう!

「酔ってんの? ちゃんと歩いてー」


「なんで・・・」


「いいからいいから、とりあえず、部屋に行こうね」


俺の肩を抱きながら、手にもっていたカードキーを
取り上げて、ドアを開ける

 

正面にケルン大聖堂が見えるスイートルーム

 

「あれ?俺の予約した部屋?」


つぶいやいた一言にかぶせるように
聞こえる軽やかな笑い声


「フフフ 俺を誰だとおもってるの」

「ああ そうだな」

 

もう、すべての質問もふっとんだよ

大明寺の長男だもんな

 

 


窓から大聖堂をながめている雅紀の横顔を、ちらっとみる

なんか、照れくさくて、向き合えない


心の中にたまった澱が、きれいに晴れた
大聖堂のバックに見える青空のように


「でね、しょうちゃんは、日本に帰ってくるんだよ」

「まだ、執事の学校は卒業してないぞ」


「あのね、うちの大学にバトラー科を作ったの
イギリスの先生たち、みんな引き抜いたからねー」


「えっ!」


「フフフ 俺を誰だと思ってるの?」

 


ずっと待ち望んでいた大きな手が、髪に触れる
優しいキスが、落ちてきた

 

おまえは、本当に大明寺のおぼっちゃんなんだなー
わがままで、強引で、勝てる気がしねーな

 


いろいろいろいろ本当に考えたんだ

自分のこと、翔ちゃんのこと

潤に言われた


何やってんだよ 俺たち、大明寺だぞ

俺たちが欲しいって言ったものは、経済を動かす
いらないって言ったものは、そのものに破滅を招く


頭を殴られたような衝撃が走る

そうだよ。

 

もう、泣くのはうんざりだ

俺につけられた噂は知ってる。
誰かを泣かすのは、もっと嫌だ


欲しいのはしょうちゃん

しょうちゃんは学校に行かなきゃいけない

じゃあ、学校を持ってくればいいんじゃん

だって、俺は大明寺の長男だから


しょうちゃんが帰ってこない
だったら、会いにいけばいいじゃん