何時の時代も論争を呼んで止まないライブハウスの「ノルマ問題」
問題なんて書き方もちょっと御幣がありそうだが、あえて「問題」と表記しておこう。
単純に、分かりやすいからね。
肯定派の意見としては、およそライブハウスの諸経費や、集客のためのバンド側の努力を挙げる事だろう。
かたや反対派はライブハウス側の搾取などの意見が出てくるものとお見受けする。
不況下にあって、致し方ない部分もあるんだろうなとは思っている。
連綿と続くライブハウスと出演バンドとお金の問題。
そういう観点でライブハウスの今昔を比較するのも中々面白いかもしれない。
ただ、それこそサンハウスやルースターズがガンガン地元でライブやっていた時代に音楽活動をやっていた訳じゃあない。
※筆者は1976年生まれ。バンド人生の開始は24歳と結構遅い。
なので「昔はこうだった」なんて話を俺がするのはお門違いなので、そこは沈黙しておこう。
大事なのは今だしね。
個人的にはノルマの存在を否定しない。
立派な設備や集客しやすい立地などを考えると諸費用がかさむのは必然。
営業を存続させるためにある程度の担保を取る考えは全くもって間違っていない。
具体的にはライブハウスの音響設備や、市街地中央部分からのアクセスの良さ、雨天時の移動のしやすさ、などいろんな要素があるだろう。
建設時はそれこそ考えに考えてその場所にオープンしているはずだ。
見えない資源というのはそういうもんである。
プロのライブだってレーベルの強力なバックアップがあってこそなりたつし、ライブハウス側の惜しまぬ努力もあるだろう。
その代りミュージシャンは、プロがプロたるゆえんの素晴らしいパフォーマンスを提供してくれるのだ。
だからお客さんが熱狂し、次のライブを楽しみに待っている。
ライブハウスとレーベル会社、広告代理店にお金が入り、ミュージシャンはギャラを受け取る。
その代りお客さんは素晴らしい"体験"を得る。
ノルマに文句を言うバンドはたいてい集客が厳しい。
厳しいからノルマを払うハメになるのが苦痛なんだろう。
気持ちはわからんでもない。
だからってノルマを取らないライブハウス(も存在する)で、集客努力もせずにのうのうとライブを楽しむのもちょいと首をひねる。
ただ演奏を楽しむだけならスタジオで十分なハズだ。
スポットライトを浴びて演奏したいんです、ってんならお金を払う必要が発生しても仕方あるまい。
「それじゃあ、ノルマという金銭的リスクを背負うのはバンドだけじゃないか」なんて意見もあったりなかったり。客が少なかろうとライブハウスは痛くもかゆくもないじゃないか、なんて意見もあるのだ。
俺に言わせりゃそれは大きな間違いである。
ライブハウスはもっぱら「イメージ商売」だ。
いいバンドが出る、いつも賑わっている、いろんなバンドが出る、いつも好きな音楽ジャンルが流れている、など、ライブハウスには「特色」というもんがある。
いくらノルマで箱代を取ろうと、出演バンドがおざなりなら自然と淘汰される。
ライブハウスてなそんなもんだ。
だから、ステージをバンドに任せる以上、常にリスクを背負っているのだ。
ここを勘違いしてはいけない。
ギャラについても色々と意見があるようだ。
いつぞやSNSでちょいと話題になったが「アマチュアのくせにギャラをもらうなど傲慢でしかない」という主張があった。
その方の言い分としては「音楽を生業としている立場でない以上、演奏させてもらっているという気持ちが大事なんだ」ということらしい。
九州のとあるバンドマンの言葉だったが、これに幾人かが反発。
争論となった。
まぁ言い分もそれぞれあるだろうが、価値観や考え方の違いをお互い言い合っても何も生まれないんだろう。
人に迷惑をかけない限り我が道を行け、である。
俺は気にいらんかったけどね(笑
ライブハウス側にだって色々ある。
搾取と捉えられても仕方ないような残念な場所もあれば、しっかりとバンドを見てくれて、育ててくれる場所もある。
ライブハウスとレストランに見立てた話を以前ネットで見たことがある。
どこの記事か忘れたのでリンクなどは貼れないが、およそ以下の様な内容だった。
ライブハウスをレストランに見立てれば、演者は調理師。
ライブハウス経営者はレストラン経営者だ。
料理がまずければ客は来ない。調理師(演者)の責任だろう。
ただ料理が良くても経営者(ライブハウス経営者)が宣伝などを怠ればやはり客は来ないだろう。
ってな内容だった。
ちょいと強引だなぁ・・と思うが、なんとなく言いたい事はわからんでもない。
バンドのせいばっかにしないでレストラン(ライブハウス)側も努力しろと言いたいのだろう。
ただ、世の中の「口コミ」というのは正直バカに出来ない。
良いバンドには自然と客が集まるもんなのだ。
観て心に訴えかける歌声や、魂を揺さぶられるステージや、ガツーンと鼻っ柱を殴られるような衝撃はクセになる。
また感じたい、と思う客は勝手にライブハウスに足を運ぶもんなのだ。
そして周りにオススメをしてくれる。
音源なんかあればバッチリだ。
出演バンドはいいがトイレの水が流れない、なんてのは問題にはならないのだ。
(いや、大問題だが)
焼酎で800円取られた時は「なめとんか!」とのたまったけどね。
※東京は焼酎高いのね・・
素敵な場所はたくさんあるのさ。
そんな場所で演奏できる"縁"を大事にした方がバンドにとっても得だと思うんだな。
ノルマが厳しいと思いつつも、その場所でやりたい理由があるなら頑張ろうじゃないか。
そして、素晴らしいパフォーマンスを見せる努力を続ければ、きっとどこかで何かが変わっていく。
その先にどんな事が待っているかは分からんが、今成功しているアーティスト、ミュージシャンは須らくそういう苦難の道を通ってきている。
加えて言うなら、俺は何も成功などしていないから、単に思いのたけを好き勝手に言っているだけなので、そこんとこは大目に見てほしい(笑
なので「お前が語っても説得力が無いぞ」と言われれば、
「まったくもって仰る通り」
としか返せない俺はとりあえず今夜も下手なギターの練習をしながら焼酎を飲むんだろう。
MAGMA