朝から、司馬遼太郎記念館へ。
訪れるのは初めてである。
多くの人と同じように、私にとっても、司馬遼太郎という作家は特別な存在である。「龍馬がいく」から始まり、「新史太閤記」「関ヶ原」「覇王の家」「項羽と劉報」「国盗り物語」「昭和という国家」「明治という国家」「この国のかたち」など読み進めることによって、たくさんのことを学んだ。
主が亡くなってからもそのままにされているという、書斎を覗いてみた。驚くことに小説はほとんど見当たらない。代わりに、辞典や辞書などが書棚一杯に収められている。窓から見える庭は、きれいに刈り取られたいわゆる庭園ではなく、むしろ、クスやモミなどを中心とした雑木林であった。
記念館を訪れて改めて思い知ったのは、彼の仕事の質の高さである。ここを訪れるまで、真の意味で、その高さを私は理解できていなかった。いや、今でも理解したとは到底言えないが、少なくとも、今まで自分が思っていた高さよりも、遥かに高いということを実感した。
自宅にも未続の彼の本をたくさん残してはいるが、衝動には逆らえず、「21世紀に生きる君たちへ」「功名が辻」「空海の景色」を購入。
その中で、拾い読みした緒方洪庵を紹介する一文。
「世のためにつくした人の一生ほど、美しいものはない」
さすがである。
夜は、Y家を誘って、片道1時間かけて、室生まで蛍を見に行く。龍穴神社近くでは、たくさんの蛍が舞っていた。真っ暗な中、子供達は、時に蛍を捕らえたり、追いかけたりして楽しそうだった。帰ろうとしたところ、車中に一匹舞い込んで来た。必死に手にした息子F(3才)だが、連れ帰ろうとはせず、「蛍さんにも、パパとママがいるから逃がしてあげよ」と。
その優しさに、少し安堵した。