1. はじめに

 序論は、レポートや論文、エッセイなどの文章において非常に重要な部分です。この部分で読者に何を伝えようとしているのか、どのような視点やアプローチで問題に取り組むのかを明示することで、読者はその後の本文にどのように取り組むべきかを理解します。簡単に言えば、序論は「この文章を読む価値があるのか?」と「この文章は何について話しているのか?」を明確にする場です。

 

 

 

 ダメな序論が存在すると、それが全体の質を大きく下げてしまいます。読者は序論によってその後の内容に対する期待を持つため、不明瞭な序論によっては読者を混乱させ、興味を失わせてしまう可能性があります。また、序論が不適切であれば、その後の本文や結論もその価値が疑われることになり、全体として説得力を欠いた文章になってしまいます。

 

 以上のように、序論は文章全体の方向性を決定づける重要な部分であり、その質が低いと多くの問題を引き起こす可能性があるのです。このブログ記事では、大学のレポートにおいてよく見られる「ダメな序論」の特徴に焦点を当てて考察していきます。

 

 

2. 主題の不明瞭さ

主題が何であるのかが読者に伝わらない例

 主題が明確でない序論では、読者は何について読んでいるのか、何がこのレポートの目的なのかを理解するのが難しくなります。例えば、「環境問題について」とだけ書かれているような序論では、それが気候変動なのか、リサイクルなのか、エネルギー問題なのか、読者にはわかりません。

何を議論するのか、何に焦点を当てるのかが不明瞭なケース

 このような不明瞭な序論では、何を議論の対象としているのか、何に焦点を当てるべきなのかが曖昧です。たとえば、「社会問題について考えよう」という序論では、それが貧困問題なのか、教育格差なのか、健康問題なのか、具体的に何について話しているのかが不明瞭です。その結果、読者は本文に入っても何に注目すればよいのか、どの情報が重要なのかを判断できません。

 

3. 情報の過不足

過度な前置き

 序論で背景情報が多すぎると、主題自体が霞んでしまいます。例えば、犯罪率についてのレポートで、社会の歴史や文化、法律について長々と説明していると、最終的に何を議論したいのかが不明瞭になってしまいます。読者は「このレポートの主題は一体何なのか?」と疑問に思い、興味を失う可能性が高くなります。

情報不足

 逆に、背景情報や文脈が不足している序論も問題です。たとえば、テクノロジーの進歩が社会に与える影響について述べる際に、具体的なテクノロジーや時代背景を一切触れずに「テクノロジーは重要だ」とだけ書いてしまうと、読者は何について話しているのか理解できません。このような情報不足は、読者が文章の文脈を把握することを困難にし、混乱を招きます。

4. 論点のばらつき

複数の論点を取り上げすぎて、どれが主要なポイントなのかが不明瞭

 序論で複数の論点を取り上げすぎると、どれが主要なポイントなのかが不明瞭になります。例えば、「健康に良い食生活」について書く際に、ビタミンの重要性、運動の必要性、睡眠の質など、多くの要素を列挙してしまうと、読者は「このレポートの主要なテーマは何なのか?」と混乱してしまう可能性があります。

結論に繋がる論点とそうでない論点の混在

 さらに、結論に直接関係する論点とそうでない論点が混在すると、読者はどの情報に注目すべきか判断が難しくなります。たとえば、経済成長の要因について述べるレポートで、政策、教育、文化など多くの要素を挙げた後で、突如として「最近の映画産業の成功」について触れると、読者はその情報が結論にどう影響するのか理解できません。

5. 不適切なトーンと言語

過度にカジュアルな言い回し

 序論で過度にカジュアルな言い回しを使用すると、アカデミックな文脈にそぐわない印象を与えます。例えば、「この問題、マジでヤバいよね」といった表現は、一般的な会話では許容されるかもしれませんが、学術的なレポートでは不適切です。このような言い回しは、レポートの信頼性や説得力を損なう可能性があります。

難解な専門用語の乱用

 逆に、難解な専門用語を乱用することも問題です。専門用語を使いすぎると、一般の読者にはその内容が理解しづらくなります。例えば、「この研究は、社会構造主義的パラダイムに基づいています」といった表現は、専門家には理解できるかもしれませんが、一般の読者には難解すぎる可能性があります。専門用語の乱用は、読者がレポートの主旨を理解する障壁を作ってしまいます。

6. 根拠の不明瞭さ

自分の意見や主張が何に基づいているのかが不明瞭

 序論で自分の意見や主張が何に基づいているのかが不明瞭な場合、読者はその信憑性に疑問を持つ可能性が高くなります。例えば、「スマートフォンは人々のコミュニケーション能力を低下させる」と主張する場合、その根拠が何であるかを明示しないと、読者はなぜそのように考えるのか理解できません。

引用やデータが不足している、または全くない

 さらに、引用やデータが不足している、または全くない序論も問題です。根拠が不明瞭な主張は、説得力を欠きます。たとえば、「多くの人々がストレスを感じている」と述べる場合、具体的な調査結果やデータを示さないと、その主張は空疎に感じられます。引用やデータの不足は、レポート全体の信頼性を損なう可能性があります。

7. 構造の不整合

序論内で触れたポイントが本文や結論で再度考察されない

 序論で取り上げたポイントが、本文や結論で再度考察されない場合、そのポイントの存在意義が問われます。例えば、序論で「このレポートでは、環境保護の重要性について考察します」と述べたのに、本文や結論で環境保護について一切触れないと、読者は混乱してしまいます。

序論が本文や結論と繋がっていない、もしくは矛盾している

 また、序論が本文や結論と繋がっていない、もしくは矛盾している場合も問題です。たとえば、序論で「健康的な食生活は長寿につながる」と述べた後、本文や結論で「食生活は長寿に影響を与えない」と結論づけると、読者は何を信じればよいのかわかりません。このような不整合は、レポート全体の説得力を大きく損ないます。

8.  おわりに

 このブログ記事で取り上げたように、ダメな序論は多くの問題を引き起こす可能性があります。主題の不明瞭さ、情報の過不足、論点のばらつき、不適切なトーンと言語、根拠の不明瞭さ、構造の不整合など、これらの問題は全て、レポートの質と説得力を低下させます。

 

 


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