セキスイ、地面師詐欺事件に思う。

 

 

 

平素、此処ブログに、司法書士の立場からものを書くことは、メッタに無いことだ。

なのに、今回の事件は「あれっ!!コリャ大変だぞ」「我輩も一応イッチョマイの司法書士だ。」

本件は「司法書士無しでやったのか?」  普通、司法書士抜きではやれまい.。?、、、、、  ところが、この詐欺事件は、現実にも、理論上も、少々疑問だらけである。

 

司法書士が行えば、そんなこと起きっこない?司法書士がやれば起きなかった、のだろうか??、、、 という、単純な疑問だ。

まず、ここから、考えてみたい。

 

(疑問その1.)

法務省管轄の公の不動産台帳である、「登記簿」の記載つまり表示内容自体は、いわゆる「公信力」は無い。有るのは、第三者への「対抗力」と、そうであろうという「推定力」だけです(民法第177条)。登記に「公信力」が無いということは、その外形表示を信じて購入登記した人でも、物件的効力(所有権)を主張できない、という理屈ですから、ある意味怖いことです。

 

他方、専門家である司法書士には、「人、物、意思、」の確認を求められ、専門家責任を負わされています。人とその意思の確認は、その人しか持ち得ない免許証初め、印鑑証明や司法書士として一体どこまでやればよいのか?つまり、 司法書士の専門家責任とは何か?  という問題です。

 

(物の確認に土地の境界確定まで求めるなら、取り引き環境も変わるだろう。)

ならば、司法書士がシステムとして「人、物、意思、」の確認をすれば、売主買主の「取引の安全」の面では確に有益だ。

しかし、「人」・「意思」以上に「物の確認」が、実は最も困難だということが意外に知られていないですね。取引の安全と円滑」の面からは、確認をどこまでやるかです。

 

土地自体は物理的に目に見えるから、一見明瞭にみえますが、契約した土地の所有権の範囲が具体的にどこまでかの確定は、生易しいものではないです。

取り引きの円滑と費用とその精度は、本来ならどこまでやるか、そのやり方次第で実は大きな差が出ても致し方ないようなところが実は存在している。

 

(こんな問題もある。)

 

果たして、不動産の登記制度は、当事者と司法書士にどれだけの権利義務責任を付与した制度なのか?本件は、 とても困った問題を提起したと思う。 また、一般市民としては、どう考えるべきだろうか?  具体的に、所有権移転の仮登記がある場合に、前所有者がそれと矛盾する別契約をしていたら、実体と異なることが、こっちには判りようがない。

 

(取り引き登記の真偽に、国家保証はないが、誰が責任負担するのか?)

不動産物件には、土地建物共、表示欄と所有者欄と担保欄などがあり、その重要情報は公簿(登記簿)上に公表されている。それなのに、それ自体を国家は保証してはいない。

本来土地は、物理的には区切りは無い。区切って一筆ニ筆で数え、図面には、地番・地目・地籍・実線と点線で表示され、面積も所有者も表示されています。

 

もし、「司法書士は専門家だから、間違ったら司法書士の責任だ。」と言おうとしているのなら

早めに国のほうに進言するのが、専門家の立場じゃないか。?!!