・東京都渋谷区の短大生、武藤亜澄さん=当時(20)=が自宅で殺害、切断された事件で
殺人と死体損壊の罪に問われた次兄の元予備校生、勇貴被告(22)の初公判が31日、
東京地裁(秋葉康弘裁判長)で開かれた。
検察側の冒頭陳述によると、亜澄さんは平成16年12月ごろから17年5月ごろまで家出をし、
このことが原因で両親の離婚話も出た。勇貴被告は亜澄さんを「家族の混乱の原因」として、
憎悪感を募らせた。
勇貴被告は昨年12月30日、亜澄さんに「勇君は、自分が勉強しないから成績が悪いと
言っているけど、本当は分からないね」と言われたことから、亜澄さんへの強い怒りの感情を
抱き、木刀で殴りつけた。
さらに、「勇君が歯医者になるのはパパとママのまねっこじゃないか」と言われ、「この口を
黙らせるには、もう殺すしかない」と殺害を決意した。
一方、弁護側は冒頭陳述で「勇貴被告は、なぜ殺害に至ったのか合理的な説明ができて
いない」などとして、心神耗弱、もしくは心神喪失を主張した。
起訴状によると、勇貴被告は昨年12月30日午後4時ごろ、渋谷区内の自宅で亜澄さんの
首をタオルで絞めた上、水を張った浴槽に沈めるなどして殺害。午後6時半ごろから
約2時間かけて、遺体をのこぎりなどで切断した。