日々の晩御飯の支度は僕の役目なので、美しい妻が料理をすることは滅多にありません。台所に立つといえば、休みの日にはテニスへ出掛けるので、昼ごはん用のおにぎりくらいのものでしょうか。
だからといって、料理が嫌いなわけではないようです。休みごとにケーキやパンをせっせと焼いています。平日の朝食はご飯が多いですが、日曜日には妻の焼くパンを食べることがよくあります。
結婚する時に、朝食をご飯にするかパンにするか揉めました。四十数年前の話です。妻はパン食派、僕はご飯と味噌汁派。パン食は作るのが簡単というのが妻の言い分です。話し合って、基本はご飯、たまにはパンで落ち着きました。
ところが蓋を開けてみれば、「ご飯は前の夜に予約できるし、味噌汁は思ったよりも簡単」と妻が言い始めました。パンにおまけする玉子焼きなどの方が、手間の掛かることに気付いたようです。
おかげで、毎朝ご飯と味噌汁を食べられることになりました。パンも嫌いではありません。むしろ好きなのですが、なぜかお菓子のように思えてならないのです。単なる子供の頃からの習慣ということでしょう。
その日の朝食は、妻の焼いたアンパンとシーチキンパン。アンパンの甘さは心がふわぁ〜と穏やかになる気分です。シーチキンパンは、おかず入りのパンという感じ。どちらもとてもおいしいです。
パン生地は、前日にこねて冷蔵庫に入れています。「手間が掛かるね」と労えば、「時間があるからね」「余裕のよっちゃんだね」「そう、そう、余裕のよっちゃん」よっちゃんが誰かは知りませんが、冗談はよしこさんの友だちでしょう。
妻は今でも常勤で働いています。忙しい身ではありますが、心に余裕があるようです。それは、仕事にストレスを感じなくなったからかもしれません。「働かないと死ぬ」という妻のセリフは、余裕の裏返しともいえます。
