ゴールデンウィーク中の5月4日、政府が財政健全化計画の基本方針を発表しました。
今日はこのニュースです。
現在政府は、2020年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字にする道筋を検討中です。
2015年には、プライマリーバランスの赤字を半減させることも目標に掲げています。
「プライマリーバランス」とは、社会保障などの必要な経費を、新たな借金に頼らず、税収だけでどのくらいまかなえているかを示す指標です。
日本のプライマリーバランスは、2010年度に6.6%でした。
これを、2015年度に半減させる(3.3%)ことが、最初の関門です。
2015年はギリギリ達成できそうな状況ですが、3.3%ちょうどになりそうで余裕がなく、予断を許しません。
2020年に向けた検討は夏までに行い、「財政健全化計画」として、この夏に発表する予定なのですが、今回発表されたのは、その「財政健全化計画」の基本方針です。
その基本方針は、このような内容です。
1、経済成長による税収増で、7兆円をまかなう。
2、歳出削減などで、9.4兆円をまかなう
3、消費税の10%を超える引き上げは、当面検討しない。
4、3の代わりに、健全化計画自体を、2018年頃に見直す規定を盛り込む。
以上が、基本方針として発表されました。
問題は、この基本方針が、「実質2%以上」の高い成長率を前提にしたものである、という点です。
日本の潜在成長率は、実質1%に届かない状態です。
現在の日本の成長率は、2014年で実質1%前後。
にもかかわらず、このように「実質2%以上」の成長率を前提にするとは、なんとも楽観的です。
過去を振り返ると、同じように楽観的に作った計画が、ことごとく失敗に終わっています。
たとえば、1997年成立の財政構造改革法では、2003年までに、「名目3.5%」の高成長を想定しました。
しかし、結局、アジア通貨危機や不良債権の問題があり、この期間中は、マイナス成長でした。
また、2006年に作ったいわゆる「骨太の方針」も、高い成長率を掲げましたが、失敗に終わっています。
そして、今回です。
2020年までに日本のプライマリーバランスを黒字化することは、国際公約になっており、「できなかった」では済まされないものです。
本当に、どうするつもりなのでしょうか。