Ai Poelstraさんのピアノ演奏。

Rachmaninoff Prelude opus 23 no. 4 with Pushkin



春の光に逐われた雪が
早くもぐるりの丘の上から
濁った色の流れとなって
水に漬った草地へと流れ下った。
自然は明るい微笑をうかべて
夢見心地に一年の朝を迎える。
青みつつ空は耀う。
今はまだまばらに見える森々は
柔毛のような緑の若葉におおわれてゆく。
蜜蜂は野の貢あつめようとて
蠟の小部屋を飛び立ってゆく。
谷川は乾いてまだらの色に染められる。
家畜の群れはさわぎ立ち 小夜うぐいすは
早くも夜ごとの静寂にうたう。

プーシキン/エヴゲーニイ・オネーギン 第七章より抜粋