と言いたいところだが、僕は私はK2ndを一度も観たことがない。
聴いたことすらない。
よって公演内容には詳しく触れません。
★
本日もキャンセル待ち。
しかも70番台と微妙な番号。
あーにゃん不在とはいえ、ほぼチームNフルメンバーである。
研究生だらけの前回とは訳が違う。
いつものように開演一時間前に非常階段に並ぶ。
って言っても70番台は五階だ。
きっつう…
しかも今日は蒸し暑い。
あっつう…
梅雨時でこれなら、盛夏なら熱中症で倒れるんじゃないのか?
五階まで上がって、思わずへたりこむ。
立ってられんわ…
山登りの同士たちが次々と階段に座りこむ。
女子高生たちも結構キツいのか、制服のスカート姿で階段の踊り場にベタリと座りこむ。
キャンセル待ち後半とはいえ、かなりの出席率だ。
『無理っぽいな。帰ろうかな…』
隣の兄さん。
『下 いっぱいいました?』
『隙間ほとんどないです。今日はダメかな?』
『関係者席。オジサンばっかなんですよ。メンバーの父親かな?』
『え? 父の日招待? まだ早いでしょう?』
『わかりませんよ。日曜日来れないお父さんもいるでしょ。最近休館日 多いし』
『うわあ…だめだあ…!』
上の方で100番近い番号のオジサンが叫ぶ。
『母の日イベントも関係者多くてダメだったんですよ!』
太ったお兄さんが、フウフウと息を切らしながらあがってくる。
『はあはあ…まだ80番。170番台ってどんだけ上なんだあ!』
『ちょっと あなた。リストバンドしてるじゃない? 当選者はもっと下』
『え? 下?』
お兄さん、階段にへたりこむ。
『もう動くのヤダ。ここにいる…』
『そりゃ勝手だけど、入れなくても怒るなよ』
『え? 上じゃないの?』
お兄さんにくっついてきた少年が言う。
彼もリストバンドをしている。
(おやおや、御新規さんが増えたなあ…)
いつまで待っても列は動く気配がない。
『動かないぞ』
『もう6時10分だあ…!』
『暑いぃ』
『死ぬぅ』
五階の防火扉には張り紙がしてある。
~ここでのネタ合わせは騒音になるのでやめましょう~
『……』
☆
しかして、やっと列が動き出すと(最近はスタッフが誘導しないのか、列が勝手に動く)
『劇場スタッフめ…手え抜きだしたな。どうりで上まで上がってくる初心者が増えるわけだ』
非常階段から出ると、外は30度近いはずなのに涼しいこと。
キャンセル待ちオマケがキレイに列を作っている。
『オマケの方が涼しくていいなあ…』
『キャンセル待ち最悪…』
入れないっぽかったが、簡単に螺旋階段を下り、劇場ホールへ入る。
『なんだ? 充分入れるやん』
『心配して損した』
『しかし…暑っつい』
次々とリストバンドが巻かれる。
ほっとしていると、なんと私の前でリストバンドがなくなる。
(新しいバンドを取りにいくのかな?)
リストバンド係りのお姉さんは何も言わない。
見たことない人だ。
チケット売り場は目の前数メートル。
後ろをふりかえると20名ほどがホールの中に行列を作っている。(多分キャンセル待ち100番まで全員)
『オマケは全滅だな』
『しょうがない。オマケは所詮オマケ』
『早く席につきたいぃ!』
後ろの人たちはもう劇場に入れた安堵感でおしゃべりを始める。
僕は気づいた。
そして青ざめて、後ろの人に言った。
『あの…リスバンないんだけど…』
『え?』
『僕の目の前で終わった』
『ご冗談…』
『ここまで来て…』
チケット売り場の前には立ち入り禁止の赤いテープがはられる。
チケット売り場のお姉さんは持ち場を片付け始める。
『え? 切られるの?』
『ウソ…!』
『うわあ。こんなとこで切られたら心折れるぅ!』
僕たちの横でメンバーの写真パネルがにこやかに笑いかけている。
かんじんのスタッフからは何の説明もない。
黙々とモニター観覧の準備を始めている。
(まさかのモニ観、強制発動?!)
やっとスタッフの一人が声をかけてきた。
『ええと。リストバンドの無い方。当選メールと身分証を出してください』
皆。一斉にスタッフに携帯をかざす。
スタッフは20人ひとりひとりの番号と氏名を確認し、手にしたクリップボードの書類と照らし合わせチェックし始める。
(何をしているわけ? こんなやり方初めて。救済措置でもあるのか?)
開演数分前。
開演チャイムが聞こえる。
『本日のチケットは売り切れました』
とスタッフ。
え?
いまさら…?
まさかチケット売り場数メートル前で切られるとは…!
いつからこんな非常なやり方になった?
これはまるで
人気ラーメン店にさんざん並んで、やっと入れて席について。
やれ、注文という段になって…
店員にしばらくほったらかしにされ…
ヘンコな店だから、ここで怒らして出入り禁止になったらタイヘンと文句も言えず、おとなしく待ってたら
『お客さん。スープがなくなったから、今日はもう終わらしてもらいましてんけど…』
と言われた気分。
心折れまくり!
どうなる!?
続く。