と言いたいところだが、僕は私はK2ndを一度も観たことがない。
聴いたことすらない。

よって公演内容には詳しく触れません。



本日もキャンセル待ち。
しかも70番台と微妙な番号。

あーにゃん不在とはいえ、ほぼチームNフルメンバーである。
研究生だらけの前回とは訳が違う。

いつものように開演一時間前に非常階段に並ぶ。

って言っても70番台は五階だ。

きっつう…

しかも今日は蒸し暑い。

あっつう…

梅雨時でこれなら、盛夏なら熱中症で倒れるんじゃないのか?

五階まで上がって、思わずへたりこむ。
立ってられんわ…

山登りの同士たちが次々と階段に座りこむ。
女子高生たちも結構キツいのか、制服のスカート姿で階段の踊り場にベタリと座りこむ。

キャンセル待ち後半とはいえ、かなりの出席率だ。

『無理っぽいな。帰ろうかな…』

隣の兄さん。

『下 いっぱいいました?』

『隙間ほとんどないです。今日はダメかな?』

『関係者席。オジサンばっかなんですよ。メンバーの父親かな?』

『え? 父の日招待? まだ早いでしょう?』

『わかりませんよ。日曜日来れないお父さんもいるでしょ。最近休館日 多いし』

『うわあ…だめだあ…!』

上の方で100番近い番号のオジサンが叫ぶ。

『母の日イベントも関係者多くてダメだったんですよ!』

太ったお兄さんが、フウフウと息を切らしながらあがってくる。

『はあはあ…まだ80番。170番台ってどんだけ上なんだあ!』

『ちょっと あなた。リストバンドしてるじゃない? 当選者はもっと下』

『え? 下?』

お兄さん、階段にへたりこむ。

『もう動くのヤダ。ここにいる…』

『そりゃ勝手だけど、入れなくても怒るなよ』

『え? 上じゃないの?』

お兄さんにくっついてきた少年が言う。

彼もリストバンドをしている。

(おやおや、御新規さんが増えたなあ…)

いつまで待っても列は動く気配がない。

『動かないぞ』

『もう6時10分だあ…!』

『暑いぃ』

『死ぬぅ』

五階の防火扉には張り紙がしてある。

~ここでのネタ合わせは騒音になるのでやめましょう~

『……』



しかして、やっと列が動き出すと(最近はスタッフが誘導しないのか、列が勝手に動く)

『劇場スタッフめ…手え抜きだしたな。どうりで上まで上がってくる初心者が増えるわけだ』

非常階段から出ると、外は30度近いはずなのに涼しいこと。

キャンセル待ちオマケがキレイに列を作っている。

『オマケの方が涼しくていいなあ…』

『キャンセル待ち最悪…』

入れないっぽかったが、簡単に螺旋階段を下り、劇場ホールへ入る。

『なんだ? 充分入れるやん』

『心配して損した』

『しかし…暑っつい』

次々とリストバンドが巻かれる。

ほっとしていると、なんと私の前でリストバンドがなくなる。

(新しいバンドを取りにいくのかな?)

リストバンド係りのお姉さんは何も言わない。
見たことない人だ。

チケット売り場は目の前数メートル。

後ろをふりかえると20名ほどがホールの中に行列を作っている。(多分キャンセル待ち100番まで全員)

『オマケは全滅だな』

『しょうがない。オマケは所詮オマケ』

『早く席につきたいぃ!』

後ろの人たちはもう劇場に入れた安堵感でおしゃべりを始める。

僕は気づいた。

そして青ざめて、後ろの人に言った。

『あの…リスバンないんだけど…』

『え?』

『僕の目の前で終わった』

『ご冗談…』

『ここまで来て…』

チケット売り場の前には立ち入り禁止の赤いテープがはられる。
チケット売り場のお姉さんは持ち場を片付け始める。

『え? 切られるの?』

『ウソ…!』

『うわあ。こんなとこで切られたら心折れるぅ!』

僕たちの横でメンバーの写真パネルがにこやかに笑いかけている。

かんじんのスタッフからは何の説明もない。

黙々とモニター観覧の準備を始めている。

(まさかのモニ観、強制発動?!)

やっとスタッフの一人が声をかけてきた。

『ええと。リストバンドの無い方。当選メールと身分証を出してください』

皆。一斉にスタッフに携帯をかざす。

スタッフは20人ひとりひとりの番号と氏名を確認し、手にしたクリップボードの書類と照らし合わせチェックし始める。

(何をしているわけ? こんなやり方初めて。救済措置でもあるのか?)

開演数分前。

開演チャイムが聞こえる。

『本日のチケットは売り切れました』

とスタッフ。

え?

いまさら…?

まさかチケット売り場数メートル前で切られるとは…!

いつからこんな非常なやり方になった?

これはまるで

人気ラーメン店にさんざん並んで、やっと入れて席について。
やれ、注文という段になって…

店員にしばらくほったらかしにされ…

ヘンコな店だから、ここで怒らして出入り禁止になったらタイヘンと文句も言えず、おとなしく待ってたら

『お客さん。スープがなくなったから、今日はもう終わらしてもらいましてんけど…』

と言われた気分。

心折れまくり!

どうなる!?


続く。