現代社会はストレスの嵐だ。
人が社会生活を送るうえで、人と人の関わりあいは避けて通れない。
喜びも。
悲しみも。
憤怒も。
しあわせも。
人との関わりのなかでしか生まれない。

ゴミ屋敷のような部屋に住む友人に、どうしてそんなにモノを溜め込むのか?と聞いたことがある。
友人は一言。

『寂しいから…』

と答えた。

何にもないガランととした部屋に住んでいると気が変になるというのだ。

確かに僕の部屋も片付いているとは言い難い。
そんなものかと思う。

待てよ。

伝統の日本家屋。
和室には何もない。
原則として何も置かない。

なのに驚くほど落ち着くではないか。
たまに和式の旅館に泊まると心身ともに解放された気分になる。
あれは何故だ?

日本人だから…

いいや、正解は壁と畳の色にある。

木肌色。

杉板や無垢の木肌、畳のイグサの色は人間の肌色に近い。
なめらかで艶やかなヒノキの柱など女性の肌そのものの色だ。
壁の色が赤や青だったら…?
一般にやすらぎの色といわれる森の緑色だったら…?

絶対に落ち着かない。

紫やピンク、まして黄色と黒のしましまだったら精神がおかしくなりそうだ。

ひとは肌色に囲まれているとやすらぐ。

つまりひとの群れにいるとやすらぎを感じるということになる。

そんはばかな!

人ゴミの中なんか大嫌いだ。
人の中がやすらぐなんて!
と思われるかた。

その通りです。
他人の中という緊張感でいっぱいだから。
でも家族の中や、気の置けない友人たちの中ならおちつくでしょう?

じゃあ道行く人をみんな友達にしてしまえば良いんです。

簡単ですよ。

挨拶しまくれば良いんです。

『おはようございます!』
『良い天気ですね!』

良い天気の日に『良い天気』と言われて、まさか反論する人はいませんよ。

そういえば件の友人の部屋の壁も僕の部屋の壁も真っ白でした。
肌色に変えてみようか…