前回の続きで今回は音源ファイルを置く場所について。
長い文章になってしまったので先に結論を書いておく。
 
<今回の記事の結論>
音源ファイルの置き場所は音の善し悪しにかなり関係する。
 
現時点のお勧めはUSB3.0外付けディスク(PCがUSB3.0インターフェースを持っている場合)。
あるいはLAN上のNASに置くのもより大がかりにはなるが音は良い。
 
 
今までの経緯もあり私は現在音源ファイルをNASに置いている。
音源ファイルを置く場所は次のどれかだろう。
(以下の話は、PCはWindowsしか使ってないのですべてWindowsPCの場合。)
・PC内蔵ディスク
・USB外付けディスク
・LAN上のディスク(NAS等)

ディスクにはHDDとSSDがある。私はUSB外付けディスクについてだけHDDとSSDの両方を試した。
USB3.0外付けHDDについては腰を据えて試すことはまだできていない。
 
実際に体験した範囲では次の並びで右にいくほど音が良かった。
PC内蔵ディスク(HDD) < USB2.0外付けHDD < USB2.0外付けSSD < LAN上のNAS(HDD)      (LANは速度が1000baseの場合)

転送速度については(音楽再生で問題となるシーケンシャルリードで)ほぼ次の順になってるはず。
USB2.0 < LAN < 内蔵ディスク
つまり一番速い内蔵ディスクが音としては一番悪い順位になっている。
PC内蔵ディスクにはWindowsシステム自体が置かれている。
Windowsシステムは実行中盛んにディスクアクセスするので音源ファイルのアクセスと競合してしまう。
PC内部バスの転送速度は速いので音楽データの転送が間に合わなくなることはないが、私のイメージでは(精確な分析にはほど遠いが)音源データは
よどみなくスムーズに処理するCPUに渡すことが重要だという説を個人的に作って信じている。
なお、PC内に二台めの内蔵ディスクがあるならそちらに置くのはありかもしれない。私は試してないので想像の範囲だが。ちなみにその場合音源を置いたディスクに仮想メモリを指定してしまうと再びアクセスの競合の問題が起きてしまう。
(二台目の内蔵ディスクがSSDならアクセスが速いから競合しても影響は少ない可能性はある。)

USB外付けディスクは必要に応じて容量を増やしやすいし、内蔵ディスクより音質的に良くて使いやすい。望ましくはHDDよりSSDの方が音がいい。SSDの速度が効くのだろう。
 
なお、USB外付けディスクを使う場合に試してみる価値のあるコツをひとつ。
USBにUSB-DACも繋いでる場合、DACとディスクのUSBを挿す場所をいろいろ変えると音質に影響がでる場合がある。
どちらかがノイズを発生して他方に影響してしまっていたのだろう。
逆に言えばUSB-DACと干渉する可能性はUSB外付けディスクの潜在的弱点かもしれない。
 
そしてUSB2.0外付けディスクよりもLAN上のNASに音源ファイルを置くのが音が良かった。これはけっこう意外だった。
1000baseのLANはUSB2.0よりは速いはずではある。
USB2.0のポートを使うUSB-DACと干渉が起きないのも優れている。
それでも長いLANケーブルやスイッチングハブや(外付けHDDよりはるかに複雑な処理をしなければならない)NAS装置など、
音源ファイルの読み出しに影響してしまう要素が飛躍的に多くなってしまう。それを差し置いても音は良かった。
 
現在のLANとNASの機材はこんな感じ。
使っているNASはIO-DATAのHDL2-A4.0(4Tbyte)。音に関しては転送速度等スペックでは推し量れなくてほぼ聴いてみるしかない。
別にNETGEARのNASも所有しているがHDL2-A4.0の方が音が良かった。

NASの位置の関係でLANケーブルは長くなってしまい10m引っ張っている。長いのでカテゴリー7のケーブルを使っているが、それは良かったのかどうか。(PCもNASもハブも1000baseなので10ギガのスピードが出るわけではもちろんない)
 
また、LANからのノイズの流入を低減するACOUSTIC REVIVE社製のLANアイソレーターをPC側に付けている。
(写真は古い100baseLAN用のもの。使っているのは1000base用。撮影のために外すのが面倒くさかったので)
 
HDL2-A4.0は筐体がプラスティック製なので内部のHDDドライブのケースの金属が直接電磁波を受けて帯電してしまう心配がある。
そのため写真のようにアルミホイルで覆ってアルミホイルをアースに落としている。
アルミホイルでは薄すぎるとは思うが、定番のcrystal disk markで測るとわずかに速くなって音も良い気がしたのでこれで運用している。
 
 
 
現在使っているオーディオ用PCはUSB3.0のインターフェースも持っている。
そこでUSB3.0の外付けHDDを繋いでCrystal Disk Markで計測するとLANより速い。
音源ファイルを置いてみると音jもけっこう良い。
(DCアダプタのコンセントの挿す向きでかなり音が変わるので両方試してちゃんと合わせる必要がある。)
 
しかしLANに比べると多少ノイズが乗ってしまっている。高音に悪さをしているのがはっきりわかる。外付けHDDが発生するノイズがPCに回り込んでしまっているのだろう。
 
LANでやったのと同程度のノイズ対策を施せばLANを越えるのではないかと思う。
とはいえ、そこまで大きな差は無いように思っているが。

LANより関係する機材が圧倒的に少ないのが有利だ。
また、PCが別にUSB2.0のインタフェースを持っていれば、USB-DACはそちらに繋いでHDDとの干渉が抑えられる可能性が高いので良い。
 
ちょっと悩ましいのはUSB3.0のUSBノイズアイソレータに相当する製品があまり見当たらないことだが。

紹介した私のLANとNASの環境は明らかにまだ改善の余地はある。
でもこれ以上やるならUSB3.0の外付けHDDの方で頑張るだろうと思う。
 
 
ところで、音源ファイルの置き場所が音に影響する理由はいくぶん不可解だ。
転送速度が速いほうが有利な傾向があるが、一番遅いUSB2.0でも音楽再生には十分間に合っている。

それより速いことにどういう意味があるのか。
おそらく転送に余裕があるとCPUにも余裕が出来るのだろう。それが重要そうだという説を信奉している。
 
ファイル形式を可逆圧縮形式ではなく非圧縮のWAVにしているのも同じような考えで、CPUに余計な処理をさせないためである。
 
[追記 10/20]
その後、使用中の1000base対応のLANアイソレーターをいったん外したので一応写真を掲載。
見た目は色が違うだけ。