私には、兄が二人いることは、前にも書いたと思う。
下の兄は絵にかいたような優等生で何の問題もなく結婚して普通に暮らしている。
でも、私とは疎遠で気が付けばもう何年も顔も併せてないし話もしてない。
ラインはもちろん、電話番号も知らない。
そのせいで困ったことも一度もない。
本当に兄妹なんだろうか?
一方、上の兄とは、歳が離れてるのに兄妹にしては、仲の良い方だと思う。
下の兄と違って、ちょい悪で、よく父にぶっとばされていた。
祖母の葬式の時に焼肉につれだしてくれたことは最高の思い出だ。
当時私はまだ12才だったが、兄はもう運転免許をもっていて
その後、全種類の運転免許を取得するのだが本当に運転が上手で
「お兄ちゃんは足でも運転できるんだぞ!!」
と紫色のシビックを笑いながら足でハンドルを運転してみせてくれ、
私は「すごいすごい~っ!!」と嬉々として助手席に乗っていた。
怖いモノなんか、何もなかった。
若かったよ、兄も私も。
あれから何十年・・・。
泣いたところなんか、いっぺんも見たことなかった兄は、
最愛の家族(妻)を亡くして
すっかり泣き虫の弱虫アニキになっちゃった。
それでも、私が何かするとリアクションは返ってくる。
完璧な引きこもりではない。
ポケモンGOもやってる。
昨夜は、なんかのついでを装って、電話が鳴った。
「ありゃ、今日は居るんか?ちょっと買い物にでたけんビールでも買うちゃろ~かの、
何がええんかのお?、スーパードライか?よっしゃ、ほんならの!」
同じ血を分けた兄妹だが、兄は全くお酒が飲めずビールの銘柄も種類も何も知らない。
いつだったか、その時も何かで私にどれが美味しいビールなのか聞いたことがあって
その時答えたのが、スーパードライだった。
ずっとその答えを覚えてるんだよね。
「着いたぞ」とラインが入るとすぐに降りていく。
道端に止められた車にかけよると窓があき、スーパードライ6本パックを差し出す兄。
「はい、誕生日おめでと」
「ありーがと、やったあ!」
「ほな、さいなら」「またな~っ」
わずか10秒で、小さくなっていく兄の車を手をふって見送る。
・・・見えなくなるまで。
このスーパードライは、ひと味違う。
なんか、ちょっと泣けてくる。
先日、東京で買った本。
早く読まなくちゃ・・・な。
兄と同じ形の鬱があるかもしれないんだ。
生きててくれてありがとなぁ…。
薬や手術で直せない病気は難しいなぁ…(*´ー`*)


