かごの鳥27(コラボ小説) | ぞっと…笑って下さい。道化猫くっきーの小説ブログ“笑う猫の夢”

かごの鳥27(コラボ小説)

こころ龍之介先生監修


「ああ~おいしかった!!」

ジョージに軽口を叩き、
時折笹山に談笑と

忙しく自身の唇を動かしていた美保が
真っ先に空にしたケーキの皿をテーブル脇にガチャンと寄せて
こちらに微笑み掛ける。

「ねえ笹山さん。ここのケーキ本当においしいでしょ?」

「うん!昔、母さんがよく作ってくれたケーキの味がするな…」

ふんわりとしたスポンジの感触と、
あっさりとした甘味に舌鼓を打つ笹山が
丸い顔を綻ばせる。

「なかなか鋭いわね。ここのマスターは一切添加物を使わない主義なの。だから正真正銘ホームメイドの味!」

「そうか!」

「そうよ。」

最後の塊を
名残惜し気に咀嚼する笹山を
微笑みながら見詰めていた美保が

不意に
自身の黒ぶち眼鏡に手を掛け、
それを静かにテーブルの上に折り畳む。

「!!」

――これは意外だ…

「笹山さんよ…そんなに驚くなよ。こいつはこう見えて学生時代は“ミスキャンパス”の座を3年間も死守したんだぜ。」

「昔の話よ。」

笹山の脇腹を軽く突き続けるジョージを
軽くいなした美保が

白い顔をこちらへ向ける。

「それじゃあ本題に入りましょう。笹山さんは私に何を聞きたいのかしら?」

――この前テレビで見た野生の雌豹みたいだな…

こちらを凛と見据える
美保の切れ長の双貌に圧倒された笹山は、

しばしの間ぽかんとそれを見返した…