彼は裸にならなければならなかった
夜の冷氣は彼に自由を教へてくれた
鏡樓から現れた神に出逢ふのだった
更に煽ると其の理由が神の白い肌に
まるで刺青のやうに浮かび上がった
彼は其の模樣に沿って舌先を這はせ
手の甲から腕へ、肩先から首筋へと
追ひ掛けて吐息の行方を搜してゐる

今は裸にならなければならなかった
夜の稜線は彼に自由を教へてくれた
遠吠えと涙から響く感性なのだった
更に動くと其の赤髮が神の白い肌に
まるで切傷のやうに幾つも描かれた
彼は腰の弓形に沿って指先を這はせ
躰を離さぬ儘で、打附ける速度やら
昂め彈けて自分の行方を搜してゐる





inspired by「マダム・エドワルダ