北海道函館出身の作家 佐藤泰志。
5度の芥川賞候補、三島由紀夫賞候補になっていながら受賞には至らず、
1990年41歳で自殺。
その佐藤康志の小説が、数年前から注目され、
更には映画化も続いている。
2010年公開『海炭市叙景』、
2014年公開『そこのみにて光輝く』、
そして、今年公開された『オーバーフェンス』。
どれもロケ地は函館。
小説自体、函館の地が背景にあるので無理はないけど。
なので、映画も是非見てほしいのだけれど、
私は小説も読んでほしい。
特に海炭市叙景。
海炭市(架空の町)での、ごくごく日常的な計18篇の短い物語が続く。
そのそれぞれ違う情景が、どこかでかすり合っているというところが、私は好き。
小さな町で生きる人たちのありふれた人生の一部分で、
きっと、誰もが小説のモデルに成り得そうな話し。
そして、全てが函館をモデルにしてるから、
私にとっては情景がより浮かんで、余計に懐かしく感じる。
この海炭市叙景は、ホントだったら36篇で構成された小説だったそう。
それが、半分書き終えたところで、佐藤康志は自ら命を絶ってしまった。
残りの半分はどんな人物の人生を書こうとしていたんだろうか。
どうして、その全てを書き残してくれなかったんだろうか。
彼の作品の中で、私もまだ読めていないものもあるので、
またここで紹介できたらと思います。
ではでは。
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