東雲です。
この頃はいろいろやることがあって、早くもブログの更新が滞っておりますが、
今日は先日行われた友の会講座のご報告を差し上げます。
駄文拙文悪しからず、ご了承ください。
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友の会講座というのは当院と関連が深い北部健康友の会が主催する健康講座です。
当院のホームページにも友の会の活動内容や案内をいれておりますので、
興味の方はどうぞご確認ください。 → 友の会のページ
毎年、講座の内容が変わるのですが、今年度は在宅医療をテーマに、全3回に分けて行われまして、先日、その1回目がありました。
友の会会員の皆さんがだいたい20数名ほどいらっしゃったかな。
だいたい75分ほどしゃべりましたが、おおむね好評をいただきました。
当院では外来診療、在宅医療、通所リハビリテーションを3本柱として地域医療を展開しております。
そのうち在宅医療はまさに国としても勧めていきたい分野のようで、診療報酬制度も在宅医療に優位になるような傾向となっています。
私は医師として今年が10年目のシーズンですけど、在宅医療へのかかわりはもう7年目くらいになります。
つまり、後期研修でくわみず病院に赴任したころから在宅医療をやっていますので、7年目にもなればそれなりに経験値があるのではと自負しています。
くすのきクリニックの所長として『在宅医療を強化する』という方針を掲げておりまして、
現在、当院では100名ほどの管理患者数で在宅医療させてもらっています(この半年で人数が増えてきました)。
熊本市北部や合志市、遠くは大津町まで行動範囲がありますが、求めがあれば当院より半径16㎞圏内(在宅医療が保険診療として認められる制限範囲)ならば伺えます。
この文章を読んで、ご相談がある方はぜひとも当院にご連絡ください。→ 電話なりメールフォーム
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講演の内容をちょこっと紹介します。
在宅医療の必要性と概要、そして私自身が経験した在宅医療の症例を一つお話ししました。
とくにメッセージとしてお伝えしたいことは…
「最先端医療」…なんて聞くと、科学技術的なものを思い浮かべると思いますが、この場合は社会的な意味での最先端となります。
本邦は2005年以降、出生数より死亡数が上回る人口減少の状態にあります。
そして世界で高齢化率が進んでいる国で、最近では65歳以上人口は30%となりました。
ちなみに世界No1の高齢化国はモナコで、日本はNo2だそうです。
あえて恐れずに言うならば、日本は『高齢多死社会』にあります(当日、この発言で会場がどよめいてました)
そして、日本人は人生の最期をどこで過ごすかというと、80%は医療機関だそうで、これも世界的に見てかなり多い比率のようです。
旧来、日本人の死は子供や孫らに見守られながら自宅の畳の上で息を引き取る‥というものでした。
しかし、高度経済成長とか西洋化とか医療の進歩とかで、「何かあったら不安だから病院にいた方がいい」という価値観が強くなり、今のような病院での最期が多くなったと考えられています。
でも、意識調査すると多くの人は「最期は住み慣れた自宅で‥」を願う人が多いんですね。
こうした矛盾がある中で、多くの人の最期を医療機関で受けきれるか‥といえば正直いって厳しいのが実情です。
ならば原点回帰、自宅で安穏とした最期を迎えられるようにするには…そう、在宅医療なのですね。
かつて当然のスタイルだった在宅医療が、今まさに回帰されているのです。
そこを格好よく「時代の最先端医療」というワードとして強調しておきます。
最近、医療技術などの発展が目覚ましく、以前は超大型だった検査機器がスマートフォンのごとく小型化されて在宅医療に活用されるようになりました。
当院にあるのは心電図、エコー機器のポータブル版があります。世の中にはレントゲン撮影機器のポータブル版もあるようですが、数百万する代物なので当院では買えません。
でもそれだけ自宅に居ながら医療機関に受診するときと同等のことができるようになっているのですね。
さらに、訪問看護師さんと連携をくめば自宅で点滴を受けることもできるし、在宅酸素機器の会社に申請すれば自宅でも酸素吸入が可能となるのですね。
なので、体調崩したらすぐ救急車…だけではなく、自宅でどうにかする選択肢もでてきたので、在宅医療ではやれることが増えたのです。
ただし、当然のことですが自宅は医療機関ではありません。
24時間常駐する医師や看護師はいないし、必要な検査や応急処置が可能な医療機器・物品が必ずあるとは限りません。
私は「救急車を呼ぶ」ことを否定しているわけではなく、場合によっては救急で医療機関に搬送したほうがその患者さんの生命や家族の安心などのメリットが大きい場合に選択することがあります。
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まぁ、こんな感じでべらべらとお話ししておりました。
他にも在宅医療について語りたいくらいですが、今回はここまでにしておきます。
また機会があれば、当院での在宅医療の在り方についてお話したり、考えたりするかもしれませんのでこうご期待。
それでは、また。