年が明け正月気分も終えて 仕事も普段と変わらぬ表情を取り戻していた。 日本海側から徐々に寒気が南下して来ている。そして太平洋側には低気圧が張り出して来ている。 この気圧配置は太平洋側に降雪が起きる気象状況である事は間違いない。空もどんよりとした深い灰色の雲に覆われている。国道17号を北上する一台のトラックがいる。ハンドルを握るのは工藤雅人である。28歳の頃から運送業界に身を置き既に30年の時を経て来ている。この業界もご多分漏れず人手不足である。まぁそのお陰でお払い箱にならず済んでいるのかと雅人は時々思っている。昨今の事情なのか塗装代を省いているトラックが多くなって来た。雅人が操るトラックもメーカーから出庫されたままの白いキャビンである。 まぁ その事に雅人は特に不満があるわけでもない。会社がこの車両を購入する際にメッキのバンパーとコーナーメッキカバー そしてミラーカバーもメッキ仕様を奢ってくれている。なるべく車両に経費を割かない思考の会社なのでこれだけの装備品は異例で雅人は満足している。12.8L 6 気筒エンジンは今日もご機嫌がいいようである。一番左側の車線を法定速度を少し超える速度で走行している。 国道17号 熊谷辺りはとてもスムーズな交通の流れをなしている。国道407号をオーバーブリッジで越える頃の右車線を走る車両は法定速度を優に超えて走行している。この先 国道は左右に枝分かれしている。右側が上武道路 左側が深谷バイパスである。雅人は左側の深谷バイパスに進入して本庄方面に向かう。 雅人はこの道路があまり好きではない。仕方なく本庄まで我慢の運転を強いられるのである。このバイパスには制限速度の表示板がないにもかかわらず 一般乗用車はなぜか50km/h辺りの速度で走行している。雅人はいつも 「60km/h 出してくれ!」と心の中で叫んでいる。」まぁ 本庄までの距離はそんな長くはないし片側1車線の中央線がイエローラインなので追い越しもままならず結局諦めて走行するしかない。まぁそんなことで気をやきもきさせている雅人にこの先 己のスキルを試させられる試練が待ち受けているとは彼自身思いもよらない事が起きる。