続・やくしまるえつこ 「ひとつ半」 | トトやんのすべて

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猫写真。
ブンガク。
および諸芸術作品への偉そうな評論をつづっていくブログです。

いえ、ものすごく些細なことなのですが、ね――

ジャック・ラカンの言う

「手紙はかならず宛先に届く」 というのはこういうことなのか??

 

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2011年9月17日の当ブログの記事……やくしまるえつこ 「ひとつ半」

というのが 最近妙にアクセス数が多く、

ひそかに気味悪がっていたのですが……

 

どんな内容かというと、7年まえのわたくしのブログ、愚にもつかない気取った感じの文章で

ちょっとリンクを貼る気にもならないのですが、

 

ようするに 相対性理論のやくしまるえつこさんが NHKFMの番組を何度かやっていて

そのなかで 「ひとつ半」という

「曲」といえばいいのか、「朗読」といえばいいのか、

とにかくへんなお話を読んでいらっしゃったので それをブログに書き起こしてみたわけです。

 

あ。↑に愚にもつかないうんぬん、と書きましたが、

もちろんトマス・ピンコの文章の事で やくしまるえつこさんのではないです。

 

まあ、ともかく も一度 書き起こしてみますか。やくしまるえつこ「ひとつ半」

 

もうすっかり夜だった。

男がタクシーに乗り込むとそこにはすでに女が乗っていた。

男は怒って、タクシーの運転手に、どういうことだ、とせまった。

あれ。たしかに空車だと表示が出ていたではないか。

運転手は横目で男をみてから、女に、ここで連れを拾っていくから、と、

そして、あなたがそうだから車を止めてくださいと申しつけられた、といった。

 

男はそこではじめて女の顔を見た。

知らない顔だ。

年は十七にも二十五にも見えるが、若い女だった。

明日は休みだ。このかわいいバカのたわむれにつきあってやってもいい。

それに、もしかしたらほんとうに知っている女かもしれない。

すでに車は走り出していた。

 

男はまずきいた。

「お嬢さん、失礼ですが、どこぞでお会いしましたかな」

女は硬い表情のまましばらく黙っていたが、やがて小さな声ではなしだした。

「お前さんが島根にお仕事で来なすった時です。山間にある食堂でお昼をお食べになられたのを覚えておいででしょうか。その時はおうどんをお食べになっておられました。わたくしはそこの雇われ女です」

女は妙な言葉づかいであった。若いくせに似合わない古臭い言葉をつかっており、話の内容以前にひっかかった。

と、そこで男は気がついた。タクシーの運転手はカーラジオからずっと落語を流して聞いていた。小さな音だったが、この若い女はたしかにこのラジオからきこえる言葉を真似してはなしていた。それがわかると、なんだか男は無性におかしくなり、この若いお嬢さんの必死の狂言をどう暴いてやろうかと、胸の中で笑った。

「たしかにぼくは去年出張で島根に行きました。うどんを食べたのも覚えています。だけどそこにあなたのような美しい女性がいたかな。もしいたら覚えているとおもうのだが」

そういうと女はぽつりと、

「ひとつ半です」

といった。

「ひとつ半? 時間ですか」

時間はまだ零時前だった。

「いいえ。あなたの……」

といって、女ははたと口をつぐんだ。何かに気づいたように目と口を開いている。そしてこちらをみていった。

 

「気づいておられないです?」

 

ぼくはなんだか腹立たしくなって、ちょうど家の近くに着いたところだったので、タクシーを降りてしまった。

 

こんなです。

2011年の記事にも書いたのですが、ラジオの音声からの書き起こしなので

文章のスタイル(漢字のつかいかた、句読点の打ち方等)は、僕の趣味です。

 

こんな……ちょっと気味の悪い話で、

それがアクセス数が異常に伸びていてとても気味が悪かったわけなのですが、

さいきん、

その記事にコメントをつけてくださった親切な方がおられ、ようやく理由が分かった次第。

 

理由は、

「ハイスコアガール」とやらいうアニメのエンディングテーマが、やくしまるえつこさんの曲らしいのです。

で、その曲のはいったCDにこの「ひとつ半」が入っているそうです。

で、そのCDをきかれて

「む?」

とおもった方が 「やくしまるえつこ ひとつ半」とググると 真っ先に出てくるのが

愚にもつかぬ、トマス・ピンコの野郎のブログであった、というわけです。

 

んー……

やくしまるえつこさん、ならびに やくしまるえつこファンの方、申し訳なし。

CDそのうち買いますから。

 

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はなしはこれだけではなく、

続きまして……

 

「ひとつ半」に 「島根」という地名が出てまいりますが……

おりしも わたくし。

9月末に

サンライズ出雲という寝台特急で 島根に旅行に行こうとおもっていた最中でして……

 

カネと権力で手に入れた「一等寝台」……

――ではなかった

みどりの窓口で律儀に並んでようやくとった「シングルデラックス」の切符を見ながら

わくわくしている昨今でして……

 

お前さんが島根にお仕事で来なすった時です。

に、妙にドキッとしてしまいました。

仕事じゃなくて旅行だけどね。

 

あと、

山間にある食堂でお昼をお食べになられたのを覚えておいででしょうか。

その時はおうどんをお食べになっておられました。

……

旅行で、奥出雲おろち号というの乗り、

で わたくし、出雲そばをたべようと楽しみにしていたので……

うどんとそばは違いますが、

なんか似てておもしろいな、と思いました次第。

 

以上、些細なはなしでした。

旅行、台風が来なければいいのですが……