スティーブは、私が闘った選手の中で最も力の強いレスラーだっ
だ。
だ。
ゴディやゲーリーのように背は高くなかったが、とてもがっしり
していてパワフルだった。
彼も素晴らしい脚力の持ち主で、猫のようなすばしこさも兼ね備
えていた。
彼は私が日本で闘ったレスラーの中で、毎回レベルの高い試合内
容を繰り広げられる、一番のアスリートだったと思う。
彼はテリー・ゴディとチームを組み、テリーが健康上の問題で日
本に数年間来られなかったときは、彼はシングルでトップのポジ
ションを得られるようにとても努力していた。
しかし、そんな彼も何かしらのトラブルを引き起こし、何年か来
日ができなくなり、仕事を失った。
後にスティーブは咽に癌を患い、何度かの長くつらい手術を受け
咽頭・声帯を切除した。
彼のキリスト教への信仰は彼を精神面、肉体面の両方で支えた。
彼は長い間癌と闘ったが、その闘いは終わってしまった。
闘病中も彼は決して自分や、自分の置かれている状況を悲観する
ことはなかった。
彼は男の中の男だった。
彼は、新日に初来日した時に、猪木とのシングルマッチが組まれ
猪木を失神させ、そのままフォールしてしまうというレスラーに
あるまじき失態をしてしまう。空気読めなかったのだ。
(通常は、リング下を徘徊して、猪木が気が付くのを待つ)
しかし、全日に移籍してからは、試合の組み方も洗練され、強い
レスラーとしてファンに認められるようになった。
咽頭癌に罹(かか)っている彼が、総合格闘技の試合に出場し、
敗れてしまったと聞いた時は、悲しく、つらかった。
そうなんだよな~。
アレクセイ・イグナショフとやったときだ。
アレクセイは、煽りビデオでスティーブのバックドロップを見て
、大笑いしていた。
「こんなんかかるかよ」って。
スティーブが瞬殺される。
「あれ~、おかしいな、レスリング経験があるのに、いいとこな
しに敗れるとは?」
自身の咽頭癌の手術代を稼ぐために、総合のリングに上がったみ
たい。
スティーブ、悲しすぎるぜ。
彼がベストコンディションであったならば、プロレスではない総
合のリングであっても、決して負けることはない。
彼以上に腕力のあるパワフルな選手はいないことを、私は身をも
って知っていたのだから。
彼がずっと昔、私の留守電に残してくれたメッセージは、いまも
まだ残してある。
“God is good!All the time He is good”
(神は最高、どんな時でも最高)