衛生陶器業界トップの「TOTO」や、世界最大の碍子(がいし)
メーカー「日本ガイシ」は、業界では「森村グループ」と呼ばれて
いる。
かつては、衛生陶器業界第2位の「INAX」も「森村グループ」
の一員だった(現在は「トステム」と経営統合)。
その「森村グループ」の中核企業が「ノリタケカンパニーリミテド」
である。
「森村」とは、ノリタケカンパニーリミテドの創業者・森村市左衛
門の名前に由来した呼び名である。
若い頃に福沢諭吉の影響で海外に目を向けるようになった森村は
明治9年に「森村組」という貿易商社を興し、ニューヨークに
輸入雑貨店「森村ブラザーズ」を開店した。
明治22年にフランス革命100周年を記念して開催されたパリ
万博を訪れた森村は、そこで白い生地に巧みに絵付けが施された
精緻な陶磁器を目にして、日本で陶磁器の製造に乗り出す決意を
する。
明治37年に同社の前身となる「日本陶器」を設立。
当初は社名を「名古屋製陶会社」とするはずだったが、諭吉の
影響を受けた開明派の森村は、「広く世界に進出するのに、地方
的名称を冠するのは、遠大な志に反する」としてこれを退けたと
言われている。
ブランド名は、創業の地である愛知県愛知郡鷹場村大字則武(の
りたけ)(現・名古屋市中村区)の「則武」という地名に由来
した「ノリタケ」を冠した。
日本で最初の磁器製ディナー皿が完成したのは、創業から10年
後の大正3年だった。
現社名に改めたのは、事業が多角化した昭和56年のことである。
現在、ノリタケは世界有数の高級陶磁器食器ブランドとして知られ
ているが、同社の食器事業の売り上げ構成比は、わずか15%に
過ぎない。
残りの85%は陶磁器技術から発展した工業機材・電子・セラミッ
ク・環境エンジニアリング事業によってシェアされている。