上告人らが、内閣総理大臣の地位にある小泉純一郎が平成13年8
月13日に行った靖国神社の参拝は、政教分離原則を規定した憲法
20条3項に違反するものであり、本件参拝により、上告人らの「
戦没者が靖国神社に祀られているとの観念を受け入れるか否かを含
め、戦没者をどのように回顧し祭祀するか、しないかに関して(公
権力からの圧迫、干渉を受けずに)自ら決定し、行う権利ないし利
益」が害され、精神的苦痛を受けたなどと主張して、国に対し国家
賠償法1条1項による損害賠償請求権に基づき、小泉および靖国神
社に対し不法行為による損害賠償請求権に基づき、それぞれ1万円
およびこれに対する遅延損害金の支払いを求めた事件において、最
高裁は、「人が神社に参拝する行為自体は、他人の信仰生活等に対
して圧迫、干渉を加えるような性質ものではないから、他人が特定
の神社に参拝することによって、自己の心情ないし宗教上の感情が
害されたとし、不快の念を抱いたとしても、これを被侵害利益とし
て、直ちに損害賠償を求めることはできないと解するのが相当であ
る。
上告人らの主張する権利ないし利益も、上記のような心情ないし宗
教上の感情と異なるものではないというべきである。
このことは、内閣総理大臣の地位にある者が靖国神社を参拝した場
合においても異なるものではないから、本件参拝によって上告人ら
に損害賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったとはい
えない」と判示した。
・争点:内閣総理大臣の地位にある者の靖国神社に参拝した行為に
よって、損害賠償に対象となりうるような法的利益の侵害
があったといえるか。
・結論:いえない。