いまや、すっかり世に定着した記号、「@(アット
マーク)」
これは、電子メールのアドレスで前半の「個人名」とも
いうべき部分と、後半の「ドメイン名」を区切るための
重要な記号だが、これを「英語のatを一文字にまとめ
たもの」と思っている人がほとんどなのではないだろう
か。
なるほど、確かに「at」には「場所」や「所属」の
意味があるから、そう考えてしまうのも当然だ。
ただ、「@」は「at」ではなく、古代ギリシャやロー
マで使われていた素焼きの壷「amphora(アンフォーラ)」
の頭文字に由来し、のちに単価をあらわすようになった
ラテン語の文字「@」のことなのだ。
この壺は、水やワイン、油などを入れて運搬や貯蔵に用い
られ、実際に壺を単価にした取り引きも行われていたと
いう。
そして、これがメールアドレスの一部に使われるように
なったのには、意外ないきさつがある。
メールアドレスの開発に携わっていた人物が、個人名と
ドメイン名と区分する必要に気付いた。
だが、その境目に数字やアルファベットを入れてしまうと
それがアドレスの一部のようになって区別がつかなくなる。
それでは、ということで、記号を新たにデザインしようか
とも思ったが、人々がそれをすんなり受け入れてくれるか
どうかはわからないし、普及するにしても時間がかかって
しまう。
そこで、英文タイプキーのもともとある「@」の文字を
使うことにしたのだ。
英文のタイプには必ず「@」のキーがついているが、そ
の割には使用頻度が恐ろしく低い。
それを逆に利用し、個人名とドメイン名を区分する目印
として手っ取り早く普及させることができるだろうと
考えたのである。
結局はその読み通り、「@」の役割はすぐさまインター
ネットの世界で認知された。
そして、それまで英文タイプを使う人が少なかった
日本でも、瞬く間に知られるようになっていった。
ただ、「アットマーク」という読み方は外国では通用
しない。
これはあくまでも和製英語であって、英語では「at
sign(アットサイン)」、「at symbol(アットシ
ンボル)」などと読まれている。
また可愛らしい丸い形をしているためか、ドイツで
は「klammeraffe(クモザル)」、イタリアでは
「chiocciola(カタツムリ)」、デンマークでは
「snabel(象の鼻)」といった意味の愛称が付け
られているようだ。