皮肉なことに「スッチー」という呼び名が一般に定着した頃、
本来のスチュワーデスはフライトアテンダント、あるいはキャビン
アテンダントという名称に切り替わってしまった。
慣れ親しんだ名称をわざわざわかりにくく、呼びにくいものに
変更した背景には、どんな事情があるのだろう。
もともとスチュワーデスとは執事や賄い係をさす「スチュワー
ド」に、女性を意味する接続語「ess」をつけたもの。それだけな
ら何の問題もなかったのだが、スチュワード(Steward)の語源を
紐解くと「stig=豚小屋」の「weard=番人」になる。
本来は家畜の世話係だったものが、執事や賄い係にも範囲が
広まり、列車や飛行機での旅がはじまった頃から客室乗務員をさす
言葉になった。
「豚小屋の番人」という当初の意味を掘り出してきた人たちが、
一部で「これは女性蔑視ではないか?」と騒ぎ立てた結果がフライ
ングアテンダント誕生の発端だったわけだ。
深読みすれば、お客様たる乗客を「豚」になぞらえるような名前
は非礼ではないか、という意味も含んでいたのかもしれない。
現在では航空会社によって、フライトアテンダント、キャビン
アテンダント、キャビンクルーなどの用語を使い分けている。
もっとも、日本では当の客室乗務員たちが、自らを「スッチー」と
呼んでいたりするのが現実だが。