幹夫と淳子が協議離婚してから6ヶ月が過ぎた。
離婚については、淳子のほうから切り出し、2人の間にできた
長女美沙の親権者を幹夫とすることで、離婚を嫌がっていた
幹夫もしぶしぶ離婚届に署名した。
淳子も生活を維持するためには、昼も夜も働きに出なければな
らず両親が健在で収入も安定している幹夫に美沙を養育してもら
ったほうが正直言って楽であった。
しかし、離婚してしばらくすると、美沙がいない生活は寂しくて
いてもたってもいられない気持ちになった。確かに、月1度は美沙
と会わせてもらっていたが、これだけではとてもこの寂しい気持ち
を紛らわせることは出来なかった。
先週の日曜日に、淳子は美沙と2人で上野動物園に行った。いつ
ものように、幹夫が淳子の住むアパートに美沙を連れてきて、
自分はすぐに帰っていった。
上野動物園にはたくさんの家族連れがいて、美沙と同じくらい
の年の女の子がお父さんに肩車されてはしゃいでいるのを見ると
美沙に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
昼食に、美沙の大好物であるハンバーグとポテトサラダを作って
いった。このおかずを見た美沙は、予想に反してあまり嬉しそう
な顔をしないのである。
「どうしたの。美沙ちゃんの大好きなハンバーグとポテトサラ
ダよ」
気になって尋ねてみた。
「お母さん、ありがとう。でも、1週間に2回も3回も、お店の
ハンバーガーやコンビニのポテトサラダを食べているから、あま
り食べたくないの」
その答えに、淳子はびっくりしてしまった。美沙の夕食は、幹夫
の母親がきちんと作ってくれているものだと思っていた。
「美沙ちゃん、おばあちゃんは夕ごはんを作ってくれないの?」
「前は作ってくれたけど、2ヶ月くらい前から、おばあちゃんも
体の調子が悪くて、美沙の家まで来てくれないのよ」
「お父さんも、毎晩帰ってくるのが遅いんで、お父さんからもら
ったお金で、ハンバーガーを買ったり、コンビニでお弁当を買って
食べているの」
早速、美沙を迎えに来た幹夫を問い詰めた。
「美沙の夕食くらい何でちゃんとしてやれないの。夜遅くまで
一人で留守番をしている美沙の気持ちにもなってよ」
それに対して幹夫も、
「おふくろもだいぶ体が弱っていて、美沙の面倒を見るどころでは
ないんだ」
「俺の方も不景気で会社がうまくいってなくて、忙しくて仕方
ないし……」
「おまえが離婚したいなんて、わがままをいうからこんなことに
なるんだ」
「でも美沙の親権は絶対に渡さないからな」
と反発した。
淳子はどうしたらいいのだろうか?