「週刊少年マガジン」が創刊されたのが昭和34年3月。
編集長の牧野武朗が、当時としては画期的な専属アシスタント制
を導入することを主張した。また、専門の原作者による分業
制も取り入れた。このシステムにより生まれたのが、原作者
梶原一騎である。テレビアニメの世界にスポーツものが登場
するのも、この梶原一騎の貢献によるところが大きい。
梶原は「少年マガジン」誌上で、「巨人の星」「タイガーマ
スク」など、次々にヒット作を書いていた。しかし、梶原の
名前を一躍有名にし、漫画界だけでなく社会的にも大きな反響
を読んだ作品は「あしたのジョー」だろう。この「あしたの
ジョー」の連載をめぐっては、梶原と漫画家のちばてつや、
「少年マガジン」との間で、壮絶な議論と葛藤が繰り返された。
昭和41年5月から始まった梶原原作の「巨人の星」は爆発
的ヒットとなった。連載開始の一年後、編集次長の宮原照夫は
梶原にボクシング漫画をやりたいと打ち明けた。
「宮原さん、ボクシングのリングというのは球場とは違う。
選手がリングに入ったときから、すでに勝負がついているんだ。
リングへ上がるまでのドラマが凄いんだ。そこを書かなければ
ダメだ」
説得力のある梶原の言葉に勇気づけられた宮原は、原作を
梶原に任せることにした。漫画は「ハリスの旋風」で人気
急上昇中のちばてつやを考えた。
梶原作品は、登場人物が、みな、自己主張の強い強烈な個性
の持ち主ばかりだ。つねに生と死のぎりぎりの境のところで
生きている。どこかに、悪の匂いさえする。ちばの作品には、
ほとんど出てこないタイプだ。梶原とちばは、肌が合わないかも
しれない。が、むしろそれゆえに梶原作品と組ませてみたい。
当初の予想通り、二人の異質な個性は初めからぶつかりあった。