▽遺体との対話で真実を見抜く
犯罪が巧妙化する近年では、事故や自殺に見せかけるために
犯人が意図的に遺体を偽装するといったことも決して珍しくない。
とくに計画的な殺人の場合は、何かしらの偽装が行われている
ケースが多いが、こうした場合に重要となるのが遺体の「検視」
である。
遺体の検視を担当するのは、各警察署に所属する検視官たちだ。
その最大の任務は、遺体の状況から死因を割り出し、事件性の
有無を判定すること。例えば、一見すると自殺に思えるような
場合であっても、遺体の状態を丹念に調べることで、それが
本当に自殺によるものなのか、それとも絞殺されたあとに偽装
されたものなのかを見抜くことができる。わずかな痕跡から
犯人の偽装を見抜き、捜査の道筋をつくる。これこそが、
検視官に与えられた使命なのだ。
【検視のポイント】
①頭部…頭髪を剃って鈍器などによる外傷がないかを調べる
②目……目の中の班血点の有無を調べる。首吊り自殺の場合
こうした班血点はできにくいため、班血点があれば
他殺の疑いが濃い
③口……生きたまま溺死した場合、口から泡状のものがでる。
死後に川や海に捨てられた場合は、こうした泡がでる
ことはない。
④首……絞殺の場合、首に残る傷跡から、紐を使ったものなのか、
手で絞め殺したものなのかを特定できる。また首吊り
遺体の場合も、首に残った傷の深さを見れば、それが
自殺によるものなのか、それとも紐で絞め殺された
あとに偽装されたものかを判定できる
⑤爪……爪の間に犯人のものと思われる皮脂などが付着してい
ないかを調べる。
⑥腕……内出血があれば、何者かに腕を強く掴まれた疑いがある。
また切り傷がある場合は、刃物から身を守ろうとした
防御創の可能性が高い
⑦性器…不自然な傷や体液の残留があれば強姦殺人の可能性が
高い。