6年弱の間、IPA/SEC(ソフトウェア・エンジニアリング・センター)の委員を務めさせていただいておりましたが、この3月いっぱいで退任することになりました。

これは、SECの活動が5年単位で進められており、この第2期が終了することに伴い、現在運営されている部会が一度全て終了するためです。

委員に着任するにあたり、このようなことを書いておりました。

マニフェスト

ここで書いた事が、どれぐらい達成できたかは何ともいえませんが、常にこの思いをもって委員として活動していたことは、自信をもって言えます。

また、この活動を通して多くの方とお会いする機会をいただき、プロセス改善に関する知識や経験を増やすこともできましたし、企業や現場の文化、立場によって見方や考え方が変わってくるし、そこから得られる結果も違うのだということを、多くの経験を通して学ばせていただきました。
SEC部会委員という経験は、その後の私が成長していく上で、大変大きな影響を与えてくれました。

自分に関しては惜しむことはなにもないのですが、SECの活動そのものについて1つだけ非常に残念に思う事があります。

部会の活動に「セミナー開催」があるのですが、これができなくなることです。

セミナーは、プロセス改善を現場で実践している方に、事例を通して得られた知見をご紹介いただくことが多かったのですが、企業の事例を社外で発表するというのは、業務上の機密が漏れる等の理由から、どこの企業でも相当ハードルの高い活動なのです。中には会社名を出さずに発表するなど、苦労して勉強会などに出ている方もいらっしゃいます。

しかし、SECでの発表となると、(一応)国の管轄下にある組織からの「依頼」なので、会社のチェックも少々緩くしてもらえるケースもあるそうです。

このような「お墨付き」がなくなり、まだこれから多くの良い事例が生まれるであろう現場のチャンスを減らしてしまうことが残念でなりません。
任期の終盤には、このセミナーに「アジャイル」を冠した回を開催できるまでになりました。現場発のアジャイルに関する提言を、アジャイルに懐疑的な人たちにも提供する機会がひとつ減ってしまうのは、もったいないことだと思います。

しかし、プロセス改善の企業横断的な啓蒙活動は、日科技連やJASPICなどの活動が続くので、なくなることはないでしょう。私もSEC部会委員は退任しても、これらの活動に少しでもお役にたてることがあれば、継続していきたいと思っています。