第1章 総則
第1条 理念
 空想国会は昨今のインターネット政治界隈において,それぞれの思想・信条にて閉じたコミュティを形成し,意味を成さない批判合戦に明け暮れている現状を危惧して,選挙という手段を通じて一定の娯楽性を介在させつつ,同じ政治というカテゴリにおいて党派性を超えて異なる意見を尊重した上でぶつけ合い,擬似的な法案等の形で意見を具体化することで,各人の思考を発展させることができる環境を構築し,維持・発展を目的とする.
第2条 組織
 空想国会には国会,内閣,裁判所,事務局が設置される.
第3条 会員
 1.空想国会Discordサーバーに参加しているものを空想国会会員とする.
 2.会員は法律の定める範囲内で,第条の組織に参加する権利を有する.但し,人種,信条,性別,社会的身分,門地,教育,財産又は収入によって決して差別してはならない.
第4条 規約と法
 1.空想国会において定められた法のうち,会員が順守する義務を負うものを規約とする.また,会員は空想国会に参加した時点で,規約に同意したものとみなす.
 2.現実の法律と空想国会で定められた法について,それぞれ現実法,空想法として区別する.ただし,特に指定なく法,または法律と称した場合には,規約と空想法のことを指す.
第5条 規約順守義務
 空想国会会員は,空想国会内において有効な規約を全て順守する義務を負う.
第6条 投票の原則
 1.特に指定のない限り,あらゆる採決は有効投票の過半数で採択される.ただし,同数の場合はその組織の長の判断を採用する.
 2.3つ以上の案があり,そのいずれも有効投票の過半数に届かなかった場合には,上位2案で決戦投票を実施する.
 3.特に指定のない限り,その組織の総有権者の1/3以上の票数が認められる投票は有効となる.
 4.投票開始から締め切りまでは少なくとも24時間の猶予を持たなければならない.
第7条 最高法規
 空想国会最高規約は,空想国会における最高法規であるため,この内容に反する規約はその効力を有しない.
第8条 規約の改定
 当規約の改定は,衆議院と参議院のそれぞれ有効投票の2/3以上の賛成を必要とし,採択後直ちに施行される.
第9条 役職の喪失
 空想国会の会員は継続的な参加が困難と判断された場合には,一切の役職を免職されることがある.ただし,これらの手順は別に規約を定める.
第2章 国会
第10条 国会の地位
 国会は空想国会の立法府であり,この規約を改定できる唯一の機関である.
第11条 国会の組織
 1.国会は事務局と選挙により選出された議員により運営される.
 2.国会には衆議院と参議院が設置される.
第12条 議員の任期
 1.衆議院議員の任期は60日とする.但し,衆議院解散時には直ちに終了する.
 2.参議院議員の任期は衆議院の任期の3/2とし,任期の半数ごとに議員の半数を改選する.
 3.法改正により両議院議員の任期がそれぞれ変更された場合, 現行の任期の終了より初めて適用される.
第13条 議員の選挙
 議員の選出に関わるあらゆる事項は,法律でこれを定める.
第14条 議員兼任の禁止
 1.議員は,同時に両議院に属してはならない.
 2.議員は,複数の議席を有してはならない.
第15条 議員の登院権
 議員は,裁判所で正式な処分が決定するまで,議員としての発言と採決を行う権利を侵されない.
第16条 法に基づく無答責
 両議院の議員は,院内外の発言・行動に関して,有効な規約に反しない限り,責任を問われることは無い.
第17条 特別国会
 1.特別国会は両議院議員の合同で評決を取るものとする.両議院の定員に関わらず,1議員1票として数える.
 2.特別国会は衆議院選挙または内閣総辞職の翌日に行われ,内閣総理大臣の指名と任命を行う.
 3.特別国会は衆議院選挙の翌日に行われ,裁判官の指名と任命を行う.
 4.前項とは別に,裁判官が欠員した際に補充を目的として特別国会を開くことができる.
 5.特別国会は事務局長の欠員の翌日に行われ,事務局長の指名と任命を行う.
第18条 通常国会
 通常国会は,法律案の審議・採決等を目的として常設される.
第19条 議会の公開と議事録
 議会の審議・採決は会員に対して,特に規約で指定されている場合を除き,公開されなければならない.また,事務局はこれらの審議を保全する義務を負う.
第20条 役員の選任と議院の自律
 1.両議院は、各々その議長その他の役員の選任方法や,その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる.
 2.前項に関わる法律に限り,第21条1項に関わらず各議院は他院の議決を必要とせずに,規約を発行・改定することができる.逆に他院の規則を改定することはできない.
第21条 法律の成立
 1.法律案は,当規約に特別の定めがある場合を除いては,両議院で可決したとき有効な法律になる.
 2.両議院で議決の異なる法律案は,衆議院で有効投票の2/3以上で再び可決したときは,法律となる.
 3.前項で否決された場合には,廃案となる.廃案になった場合には次の衆議院選挙後まで同一内容の法律案を提出することができない.同一内容の法律案であるかどうかの判断は,各議院の長に委ねる.
 4.法律案の提出者が議員でなくなった場合,及び法律案を提出した内閣が総辞職した場合は,その法律案は廃案となる.ただし,議員の任期満了又は衆議院の解散に伴い議員でなくなった者が,連続して再び同じ議院の議員となった場合,及び総辞職した内閣の内閣総理大臣が,連続して再び内閣総理大臣に指名された場合は,法律案の審議はその間凍結されていたものとして扱い,継続して審議を行う.
第22条 条約の締結
 1.空想国会外の組織間との条約を締結する際には,条約法に関するウィーン条約を可能な限り準用するものとする.また締結した条約は国会の事後承認を必要とする.
 2.条約の承認に関しては必ず衆議院から先に提出しなければならない.
第23条 国政調査権
 各議員は政務調査の一環として,空想国会に関する記録の提出を事務局に要求することができる.
第24条 国務大臣の出席
 国務大臣は各議院の議席の有無に関わらず,法律案について必要な審議を行うために各議院にて発言を行うことができる.逆に,答弁を要求された場合には説明する義務を負う.
第25条 弾劾決議のための審議
 国会は,法に基づいて裁判官の罷免の是非に関する審議を行うことができる.
第26条 裁判官である国会議員の身分
 国会議員である裁判官が,裁判官としての地位を辞職あるいは免職される際には,議員としての身分も同時に失う.
第27条 政党要件
 1.政党とは、政治団体のうち次の各号のいずれかに該当するものをいう。
  ①当該政治団体に所属する国会議員を2人以上有するもの
  ②直近において行われた衆議院議員の総選挙における選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の3%以上であるもの
 2.政党に該当しない政治団体の出馬には,同一議院の選挙において,少なくとも3人の立候補が必要である.これを満たさない場合は,無所属として扱われる.
第3章 内閣
第28条 内閣の組織
 1.内閣は,規約の定めるところにより,その組織の長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する.
第29条 内閣総理大臣の指名
 1.内閣総理大臣は現職の国会議員から国会の議決により指名される.
 2.内閣総理大臣の指名と任命は,他のすべての案件に先行して実施されなけらばならない.
第30条 国務大臣の任免
 1.内閣総理大臣は,国務大臣を任命する.
 2.国務大臣は常に5名以上15名以下が任命されなけらばならない.ただし,その過半数は,国会議員の中から選ばれなければならない.
 3.国務大臣が必要定数を満たさなかった場合,内閣総理大臣は2日以内に欠員を補う義務を負う.
 4.内閣総理大臣は,任意に国務大臣を罷免することができる.
 5.内閣総理大臣がその役職を失う際には国務大臣も同時にその役職を失う.
第31条 衆議院の解散
 1.内閣総理大臣は国会開会中に衆議院の解散を発することができる.
 2.衆議院が解散した場合には,全ての衆議院議員は直ちに議席を失う.
 3.衆議院が解散した場合には,内閣総理大臣と各国務大臣は直ちにその役職を失う.
第32条 不信任決議と総辞職
 内閣は,不信任の決議案を可決,または信任の決議案を否決されたときは,解散または総辞職をしなければならない.
第33条 内閣総理大臣の職務権限
 1.内閣総理大臣は,内閣を代表して議案を国会に提出することができる.
 2.内閣総理大臣は,外交上の条約締結を行うことができる.また,その全権大使を議員である国務大臣から指名することができる.
第34条 条文への署名と保存について
 法律及び政令には、内閣総理大臣のDiscord上での署名を必要とする.また,それらは法律の条文と共にDiscord内になるべく簡易に閲覧できる形で保存されなければならない.
第4章 司法
第35条 裁判所の設置
 1.空想国会に関する紛争を最終解決するための組織として裁判所を設置する.
 2.裁判所は裁判所長官により運営される.
第36条 裁判官の選任
 1.裁判官は国会議員及び直近の衆議院選挙又は参議院選挙に立候補した者の内から指名される.
 2.各議員は,前項の者の中から,自らの所属する政党又は直近の選挙にて統一名簿を組んだ政党に所属しない者1名を指名する.
 3.指名した議員が多い者から順に5名を裁判官に指名する.
 4.裁判官に指名された者は,これを辞退することができる.指名を辞退した際にはその分だけ繰り上げで指名される.
 5.欠員が生じた場合には,第17条4項の通りに特別国会を開き新たな裁判官の指名を行う.
第37条 裁判所長官
  1 裁判所長官は事務局により裁判官の内から任命される.任期は次の裁判所長官が指名されるまでである.
  2 裁判所長官が裁判官の身分を失った際には,裁判所長官の身分も失う.
  3 裁判所長官に欠員が生じた場合には,事務局は直ちに新たな裁判所長官を任命する必要がある.
第38条 裁判官の職務上の独立
 すべて裁判官は,その良心に従い独立してその職務を行い,有効な規約にのみ拘束される.
第39条 最高裁判所の規則制定権
 裁判所は,規約に定められてない訴訟に関する手続,弁護人,裁判所の内部規律に関する事項について,規則を定める権限を有する.
第40条 裁判官の身分の保障
 裁判官は,事務局より継続して職務を執ることができないと決定された場合を除いては,公の弾劾によらなければ罷免されない.裁判官の懲戒処分は,その他の手段を経てこれを行うことはできない.
第41条 弾劾決議
 裁判官の罷免は総議員の4/5の署名を持ってこれを行うことができる.
第42条 裁判所の違法審査権
 裁判所は,一切の規約,命令,規則又は処分が規約に適合するかしないかを判断する権限を有する.また,是正が認められない場合には,相応の処分を下すことができる.
第43条 裁判の公開
 裁判は公に行われなければならない.議事は記録され公開されるものとする.
第44条 裁判所の処罰権
 1.裁判所は判決に付随して,空想国会での身分や会員の資格に関わるものに限定して処罰を下すことができる.
 2 前項の処罰内容は,原則として規約に従う.
第45条 会員の地位の保全
 1.全ての空想国会会員は,裁判を経ることなくその地位や権利を不当に侵されることは無い.
 2.前項に関わらず,規約に裁判を経ずに執行できる条件が明記されていて,それを明らかに満たす場合には前項を適用しない.
第5章 事務局
第46条 事務局
 1.事務局は空想国会Discordサーバーの運営,選挙管理を執り行う組織である.
 2.事務局は事務局長により設置される.
 3.事務局は公平に運営と選挙管理を執り行う義務を負う.
第47条 事務局長
 1.事務局長は第17条5項のように国会により指名される.任期は無期限とする.
 2.事務局長は任意にその職を辞することができる.
 3.事務局長は総議員の4/5の署名により罷免される.
 4.事務局長に欠員が生じた場合には,第17条5項の通りに特別国会を開き事務局長の指名を行う.
 5.前任の事務局長は次の事務局長に業務を引き継ぐまで,運営を執り行う義務を負う.
 6.事務局長は事務局内の人事と決定について全ての権限と責任を負う.
第48条 事務局の独立性
 1.裁判所の判決と事務局長の人事権を除いて事務局員の処遇を決定することはこれを認めない.
 2.事務局の構成員は国会,内閣,裁判所の構成員であってはならない.
第49条 事務局の裁量権
 1.空想国会の円滑な運営を目的に,規約に記されていない内容に関して事務局は裁量権を発動することができる.ただし,総議員の過半数の反対により裁量は個別に拒否される.
 2.前項の裁量権で国会,裁判所の議決を侵すことは認められない.
 3.1項の裁量権で執り行われた内容に関して,国会は可及的速やかに規約化の議論を始めなければならない.
 4.1項を除いて規約に事務局の裁量によると記されているものに関しては,1項の裁量権には含まれない.
第50条 選挙の実施義務
 選挙を実施する事由が生じた場合には,可及的速やかに事務局は選挙を行わなければならない.選挙区,投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は,規約でこれを定める.
第51条 選挙管理に関わる専決処分
 選挙管理に必要と事務局が判断した場合に,選挙期間中に限り,当規約に反しない範囲で国会と裁判所を経ずに専決処分を行うことができる.ただし,選挙後に国会に事後報告する義務を生ずる.
附則
1.当規約は西暦2020年12月6日に採択され,同日に施行される.
2.この最高規約施行の際,現に在職する国務大臣,衆議院議員,参議院議員及びその他の公務員で,その地位に相応する地位がこの最高規約で認められている者は,法律で特別の定をした場合を除いては,この最高規約施行のため,当然にはその地位を失うことはない.但し,この最高規約によって,後任者が選挙又は任命されたときは,当然その地位を失う。